教育福島0132号(1988年(S63)07月)-026page

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(三) 保護者の意識

進路に関する情報の提供、三者懇談、学年PTAの充実、進路ノートの活用、あるいは家庭教育講座の充実等により、学校が積極的に保護者に働きかけた結果、進路に対する保護者の意識は高まってきている9これは例えば、家庭教育講座への出席者数が増えていることからも伺える。

 

(四) 自己教育カの育成

「自己教育力」とは、「主体的に学ぶ意志、態度、能力の形成」であり、「学習の仕方の習得」あるいは「生き方の探究」であるといわれている。

このように「自己教育力」の内容は奥行きが深く、本実践研究において、「自己教育力の育成」にどれだけ迫ることができたかといえば、その評価はきわめて困難である。しかしながら、実践研究の中での教員の観察によれば、次のような評価がなされている。

まず、生活面においては生徒が自律的に行動することができるようになったことである。例えば、問題行動により指導の対象となった生徒は六十年の四月から九月の間に三十八名(三十一件)であったが、六十二年の同期には六名(五件)と急激に減少している。

これは、自分の姿を客観的にみつめ、集団生活の中での自分の生き方を考えるという自律的な生活態度が着実に育成されていることを示している。

次に、学習面においては、積極的に学ぼうとする態度がみられるようになったことである。例えば、授業を受ける態度が非常に良くなってきており、したがって赤点の保有者も六十年度一学期で一・二・三年生合わせて百三十七名であったのに対し、六十二年度は百二十三名と減少している。また、早朝学習への取り組み、昼休み、放課後等において図書館や特別教室で学習1している生徒が、六十年度に比べ六十二年度は大幅に増加している。職員室等での教員に対する質問や添削指導等を受ける生徒も、かってなく増加している。さらに平日の課外(丁二年生は週三日、三年生は週五日実施)への参加者も、一年生は二百二十名(全体の六十一%)もおり、二・三年生も例年になく増加していることや、春季合宿学習への積極的な参加等、こうした事実は生徒の進路意識の高揚とともに、自己の進路希望の実現に向かって、自ら主体的に学ぼうとする意志や態度が形成された結果であると思われる。

 

八 今後の課題

 

(一) 学年に応じた進路指導の計画と実践

今後とも文献研究や実践を通して進路指導目標や内容について検討を加えるとともに、進路ノートの改善などにより、進路にかかわるロングホームルームの授業を、「考える場」「啓発される場」とするよう、より一層充実する必要がある。

 

(二) 進路に応じた教育課程の編成と実践

文・理コース別学級編成は今までと違った成果が期待できるが、これだけでは多様化した生徒に十分対応しきれない点もあるので、今後さらに類型の細分化なども含めて検討する必要がある。

 

(三) 学力向上のための計画と実践

今後さらに、授業の充実、習熟度別学習の充実及び課外指導・家庭学習の強化などにより、学力向上に努める必要がある。

 

(四) 進路指導についての校内研修会の計画と実践

今後とも、各種研究会や他校視察の報告会などの校内研修会を継続し、内容の充実に努める必要がある。

 

(五) 保護者の啓発

家庭教育講座や学年PTAを開催して保護者の啓発に努めてきたが、まだ親子の相互理解や教師と保護者の連携が必ずしも十分とは言えない。このことを踏まえ今後は、親子の相互理解や教師と保護者の連携を深めるための方策をさらに検討する必要がある。

 

図4 ロングホームルームにおける進路指導について

熱心に取り組んでいる早朝学習

 

熱心に取り組んでいる早朝学習

熱心に取り組んでいる早朝学習

 

 

 

 

 


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