教育福島0132号(1988年(S63)07月)-048page

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常に、季節の流れを意識させることができ、一年間の学習意欲を持続する上で役立った。

5) 一年間の長期観察やまとめを自主的に活動させるためには、さまざまな変化のある授業づくりが大切であり、いくつもの手立てが関連して有効性が見られた。

(二) 課題

1、自然に親しませるための時間の確保が、問題である。

2、どこの地域でも実践できるかが問題である。

3、新聞づくりに、時間がかかるため、ある程度、記事づくりに助言を与えておくなど、個に応じた指導が必要である。

4、新聞づくりでのグループの編成に、むずかしさがある。

5、自分の植物づくりでは、花の終わった後、観察への意欲がなくなりがちであった。

 

創造的な音楽活動の指導法

白沢村立自沢中学校教諭 市川 洋子

 

一、研究の趣旨

生徒の持っている音楽的創造性を摘みとることなく大きく育てるためには生徒一人一人が持つ独創性や個性的な音楽の表現力を引き出してやることが大切である。

自分の言いたいことを音楽で表現するという経験を通して、作る喜びや発見する感動を起こさせ、生徒の自己表現力を高めるために、創造的な音楽学習は最も効果的であると考え、この創造的な音楽学習に焦点をあてた研究を実践した。

 

二、研究の対象と内容

(一) 研究の対象

二年生百九名を対象に二か年間

(二) 研究の内容

(1) 創造的な音楽学習の展開の在り方

(2) 創造的な音楽学習を体験することによる生徒の授業に対する取り組み方の変容

 

三、研究の仮説

音に向かい、音で語り合う創造的な音楽学習をグループ学習の形態で体験させれば、意欲的に学習に取り組み霞己表現力が高まる。

 

四、研究の概要

(一) 創造的な音楽学習の構造

ABCDの四段階から構成されている。その内容は、資料1のとおりである。

(二) 実践授業例

自然や生活の中から取り上げた主題による音楽づくり

指導計画(七時間)

Aの段階(二時間)

ドビュッシー作曲の「月の光」を題名を伏せて鑑賞させ、その情景を想像させる。五〜六人のグループで自然や生活の中から考えた主題を設定させる。

Bの段階(三時間)

主題に基づきイメージに合う音を

発見させ、記録させる。

Cの段階(一時間)

グループごと作品を発表させる。

Dの段階(一時間)

作曲家の作品を鑑賞し評価分析をする。

(三) 授業の実際

「わあ、すごい。こんな音もあるぞ」「どれどれ」これはシンバルを担当した男子六名のグループの活動場面。シンバルをつるしてこぶしでたたいたり、小太鼓のバチでたたいたり、どうやって雨が降る様子を表わしたらよいか相談している。「ただ降っているだけではつまらない。トタン屋根にピッタピッタと降り始めから強まっていって雨が上がるところまでやろうか」「それがいいや」少し活動の先が見えてきたようである。「じゃあ、降り始めは何で音を出そうか」「小太鼓のバチでやるのがいいんじゃないか。その音の出し方はバチの柄にしよう」

エレクトーンを担当しているグループでは、都会の雑踏の中を自動車が走っていく中で聞こえる音、工事の音、救急車の音、人間が歩く音を表現しようとしている。Y君はリーダーとして五人に指示を与えている。「H君はここの部分を押してな。あと余計な音は出すなよ」Y君の指示を素直に聞きながら取り組んでいる。

誰一人やらないで見ている人はいない。自分のできる力に合わせて担当している姿が見られる。

ピアノを担当している女子六人の班では海の嵐を主題としている。神秘的な音を出すために内部弦をビブラフォンのバチでたたいたりしている。「嵐

 

資料1 創造的な音楽学習の構造

 

 

 

 


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