教育福島0132号(1988年(S63)07月)-049page
の感じはこの音でどう」「手から腕まで同時に鍵盤を押してみたの、いいんじゃない」イメージがどんどん膨らんでいる。
この授業では、夢中で沢山の音を発見し、その音の違いを感じたようだ。
五、研究の結果と考察
(一) 生徒のアンケート結果
昭和六十年六月と昭和六十二年三月の事後調査の結果は、資料2のとおりである。
(二) 授業の考察
(1) 初めは戸惑う姿が見られたが、だんだん進め方もわかり楽しく参加するようになった。
(2) 自然や生活の中の音や一つの楽器から沢山の音を発見し、音に対する関心が高まった。
(3) グループ活動はみんなの協力がないとまとまらないことを自覚するようになった。
(4) 個々の能力に合った活動をし、全員がグループ活動に参加できるようになった。
六、研究の成果と課題
(一) 研究の成果
(1) 創造的な音楽学習により音楽の授業に対する抵抗がなくなり、意欲的に授業に取り組むようになった。創造的な音楽学習を取り入れることは中学生の段階では大切なことがわかる。
(2) グループ活動を通して生活の中や自然の中の音に気づき、形式にとらわれず音符に苦しむことなく、自分たちの感じたことを音楽に表現することができた。そのことによって生徒の創作意欲や創造する力が引き出された。
(3) 創造的な音楽学習の経験により授業に対して生き生きと取り組むようになり、創造的な音楽学習以外の活動にも積極的に取り組むようになつた。
(4) グループで活動するには自分一人の勝手な行動も許されず、他人と協力しながら人間としてのつながりの大切さを感じ、なお一層、学級づくりに貢献した。
(5) 創造的な音楽学習の経験により、表現活動、鑑賞活動を含めた形で、他の教科(国語や美術など)もかかわりながら、広い立場で音楽に接することができた。
(6) 誰一人できないと言ってあきらめる生徒もなく自分にあった活動を見つけながら最後までグループの一員として協力できた。
(二) 今後の課題
(1) 意欲的に活動できることはよくなったが、音符による創作指導をいつどんな場面に導入するかが課題である。
(2) 楽しくグループ活動させるだけでなく、音楽の本質に迫るための活動の在り方について研究を深めていかなければならない。
(3) 短期間の生徒の変容にとどまらず生涯を通して音楽とかかわっていけるようにするための指導の在り方についても、継続して研究をしていく必要がある。
資料2 事後調査の結果
資料3 生徒の作品例「騒音」
グループ発表の風景