教育福島0132号(1988年(S63)07月)-050page

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教育センターから

 

自己教育力の育成について

〜61・62年度の実践的研究から〜

 

一、はじめに

近年における児童一生徒の問題行動多発の現状や目まぐるしく複雑に変化する社会への対応などから、中央教育審議会、臨時教育審議会等において、自己教育力の育成の必要性について提唱されました。このことを背景に、当教育センターでは、テーマを『自己教育力を育成するための学校教育の改善に関する実践的研究』と設定し、県内の小・中・高十校の研究協力を得て、六十一年度から二か年にわたり実践研究を行いました。

 

二、十二の達成目標と評定尺度の設定

『自己教育力を育てること』とはどのようなことかについて、多くの文献を参考にして検討を重ね、次のような理論構成をしました。

研究の最終到達目標を『主体的に変化に対応できる個性的な人間の育成』とし、これを支える下位の目標として三つあげ、『学習意志の形成』『学習の仕方の習得』『生き方の探求』としました。これらの三つのねらいを達成するためには、児童・生徒の『自己教育力』が育った姿とはどういうことか、学校教育の中で『何が必要なのか、どのようなねらいを設定しなければならないか』等を検討し、十二の達成目標を設定しました。(表1参照)

また、これを『児童・生徒に自己教育力が備わった望ましい状態像』と定めました。更にこれを教師が『児童・生徒を観察し評価するための物差し』として用いるため、それぞれ、五段階に分けて設定したのが評定尺度1)(資料略)です。この評定尺度1)を用いて、児童・生徒の行動面に現れたものを観察評価すると同時に児童・生徒の内面的な心の動き、その変容を見ることもきわめて重要であると考え、児童・生徒の自己評価項目を評定尺度1の各要素にあわせて作成したのが評定尺度[です。研究実践は、小・中・高校で行いましたので、学校種別ごとに発達段階に応じて作成しました。(表2参照)

三、集団を中心とした研究実践

研究実践は、各協力校の児童・生徒を対象に、評定尺度1)による教師の観察評価と、評定尺度2)による児童・生徒の自己評価の事前調査を行いました。この結果から、個人ごとの特性や、学級の特性、学校全体の傾向をつかみ、自己教育力が育成された状態像十二項目に対して、どの要素が陥没しているか、どの分野が落ち込んでいるかを明確にしました。

一年次の研究実践は、この事前調査の結果をもとに教科指導、特別活動等の実践段階に即した評定尺度3)、4)(資料略)を設定し、更に、調査を行いました。この結果、明らかとなった陥没要素を補完・強化するため、教科指導、集会活動、学級指導、生徒会活動、ホームルーム活動、班別活動等に指導の場を求め、追究の手だてを工夫しながら自己教育力の育成を目指しま

 

表1 自己教育カが育成された状態像

(12の達成目標)

 

 

 

 


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