教育福島0133号(1988年(S63)09月)-009page

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てはまるとは言えないが、各学校の反省すべき材料として、検討する必要がある。

 

二、学校教育全体で行う道徳教育

 

道徳教育は、児童生徒が生活するすべての場面で行われることが望ましいが、学校教育では、法の定めるところに従い、児童生徒や地域の実態に即して、計画的、具体的に指導されなければならない。学習指導要領第一章総則2で、道徳教育が学校教育全体を通じて行われるよう強調しているのも、学校生活の期間に、望ましい道徳性を形成することの重要性を示しているものといえる。

 

1、機能する全体計画の必要性

道徳教育は、道徳の時間の指導はもとより各教科、特別活動、その他の場と機会のすべてをとらえ、学校生活の随所で行われることが大切である。そのため、道徳教育の全体計画の改善・充実が何よりも大切となる。

県内の各学校においては、ほとんどの学校で全体計画が立案されているが具体的な道徳教育の展開に当たって、全体計画が有効に機能しているかどうかという点については、問題があると思われる。

全体計画には、次の内容を含むのが一般的とされている。

ア、道徳教育の目標

イ、道徳教育の方針

ウ、各学年の指導の重点とおもな指導内容

エ、各教科、特別活動及びその他の教育活動との関連

オ、家庭及び地域社会における道徳教育との関連

キ、その他

これらの内容が更に具体化され、全体計画が有効に機能するためには、ウ〜キまでの項目が、それぞれの学校の教育課題に添って実践可能な内容となっていなければならない。

例えば、教科指導の場合、単に教科の一般的な内容を記述するのではなく、教科のねらいを達成しつつ、どの単元で、どの様な価値と関連させていくのか等、より具体的な位置づけが必要となる。

国語科における心情の育成や、理科の生物教材における生命尊重など、また特別活動における道徳的実践の場の位置づけなど、内容や形式は各学校の実態に応じながら、実際に機能する全体計画に改善することが大切である。

 

2、年間指導計画の改善・充実

学校における道徳教育は、前述のとおり、学校の教育活動全体を通じて行うことが基本であるが、その中核となるのは、道徳の時間の指導である。

道徳の時間をより充実するためには、年間指導計画の改善・充実が何よりも大切となってくる。県内の各学校では、年間指導計画はほとんど立案されているが、内容をみてみると、主題一覧表と差異のない計画も多い。

年間指導計画が、道徳の時間の指導に実際に活用され、生きて働く計画となるためには、次の点に留意して改善.充実を図る必要がある。

 

ア、年間指導計画は、次のものを必ず含むようにする。

・ 主題名(価値)

・ 資料名(出典)

・ ねらい

・ 展開の大要(主な指導事項や基本発問を含む)

イ、各指導内容は、原則としてどの学年においても取り扱い、必要とされる内容を重点的に取り上げ、また、いくつかの内容を関連づけて指導できるよう配慮すること。

ウ、各学年における重点的な内容を取り上げている主題は、他の内容を取り上げている主題より、その数をふやしたり、配当時間を多くしたりして、重点指導の効果を高めるよう配慮すること。

エ、資料選定に当たっては、読み物資料に偏ったり、TV教材の無意図的な視聴になったりすることを避け、指導の効果が上がるよう配慮すること。

オ、小学校では、内容の「括弧書き」に示された低・中・高学年別の学年発達段階に応ずる内容を参考として、ねらいを明確にするとともに、各学

 

資料1 N小学校の年間指導計画(一部)

 

 

 

 


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