教育福島0133号(1988年(S63)09月)-010page

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年を通じて取り上げられる内容については、各学年における系統的な関連や発展性を十分考慮すること。

 

資料1は、N小学校の年間指導計画の一部である。週、主題名、資料名、ねらい、展開の大要、反省欄を含み、望ましい年間計画の一例であるが、「主題名」の表現の仕方、展開の大要の充実など、より指導に活用され、効果の上がるものに改善する必要がある。

 

三、道徳の時間の指導の充実

 

道徳の時間における指導は、道徳教育の目標の実現を目指し、計画的・発展的な指導を通して、各教科や特別活動等における道徳教育の「補充・深化・統合」を図る場である。

そしてそのねらいは、道徳の時間の指導を通して、児童生徒の道徳的判断力を高め、道徳的心情を豊かにし、道徳的態度と実践意欲の向上を図るなど、道徳的実践力の育成を図ることを目指している。

このことは、道徳の時間は、「自己を見つめる時間」「より高められた価値観に照らして、今までの自分はどうであったかをみつめる時間」

「道徳的価値を主体的に自覚させる時間」という言葉に端的に表現されている。

 

1、道徳の時間の指導に見られる問題点

道徳の時間のねらいが前述の内容であることは明らかであるとしても、現実の指導にはいくつかの問題点があることも事実である。各学校においては、次の視点から、授業を反省し、図る必要がある。改善を

ア、教師の一方的な価値の押し付けになっていないか。

イ、児童生徒の生活経験とあまりにも遊離した抽象的な指導になっていないか。

ウ、一部の児童生徒を対象とした授業になっていないか。

エ、指導過程が固定化し、弾力性を失

なっていないか。

オ、道徳の時間の指導が、特別活動の「学級指導」的な指導になっていないか。

 

2、道徳の時間の基本的な指導過程

道徳の時間における指導過程は、児童生徒一人一人に、ねらいとする道徳的価値を主体的に自覚させるための指導の手順である。この指導過程が固定化することは、指導の効果からいっても望ましいことではないが、基本型はきちんと押さえなければならない。その上に立って、多様な指導過程を工夫することにより、指導の効果を高めたい。

道徳の時間の指導が成立するためには、次の二つが要件となる。

ア、ねらいとする道徳的価値を資料を通して追求し、より高められた価値として把握すること。

イ、より高められた価値観に照らしてみて、今までの自分はどうであったかを見つめること。

道徳の時間の基本的指導過程は、この二つの要件を含むことが大切である。資料2、3(新道徳教育実践講座1「自己をみつめる」文部省視学官 瀬戸 真編著より)は、道徳の時間の基本的な指導過程を表したものである。

この基本型を参考として、各学校や児童生徒の実態に応じて多様な指導過程を工夫し、指導の効果を高めるよう研究実践を積み重ねることが必要である。

 

3、道徳性の評価

道徳性についての評価を適切に行い児童生徒の実態を把握し、次の指導に役立てる必要がある。

教師が、児童生徒の人間的成長を見守り、よりょく生きようとする努力を

 

資料2

道徳的価値の主体的自営を図る基本的指導過程

資料3 指導過程の基本型

 

資料3 指導過程の基本型

 

 

 

 

 


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