教育福島0133号(1988年(S63)09月)-017page

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徳の授業の改善に係る内容を累積してきた。

十一月の研究公開に当たり、全学級の授業公開を計画している。

これまでの研究実践から、次のような成果があったと考えられ、なお一層の研究の深まりを目指している。

(1) 道徳の授業に対して

全職員の認識が高まり、また、道徳的実践に対する生徒の意識が、少しずつ好ましい方向に変わってきている。

(2) 授業の工夫

「豊かな心、道徳的実践力を育てる手だてを、授業のどこで、どのように位置づけ、どう指導したら効果的な授業となるか」など、研究意欲が全ての職員に浸透し、資料の吟味や分析を通して、価値の明確化、指導過程の組み立て、効果的な発問の設定等、どの授業にもその工夫がみられる。また、効果的な授業をするため、学習形態や視聴覚機器の活用、学習訓練についても改善が図られてきている。

(3) 他領域との関連

道徳的価値の補充・深化・統合という道徳のねらいをよく理解し、他領域との関連を図りながら、生徒指導や学級経営に対する教師の意欲が高まってきている。

(4) 父兄の関心

道徳の時間を父兄にも公開するなどの手だてにより、道徳教育に対する父兄の関心も高まりつつある。

(5) 今後に向けて

どの授業でも、これで良しということはない。諸調査等の授業での活用、望ましい資料の収集保管等を継続しながら、日々変化する社会の中に生きる生徒の指導のため、授業の充実に向け更に努力したい。

(四) 調査資料研究部

「道徳的実践力を高める授業の工夫」を受け、また本校の生徒像の具現化にも、生徒の道徳的な実態や地域・保護者の道徳的特質を知らなければ、「授業の工夫」にもつながらない。その調査資料や分析の結果を「道徳の時間」に活用すれば、授業のねらいや指導観の確立、そして授業の構成にも役立ち、また生徒の授業に対する関心や意識を高めることができるだろう。

また、道徳的実践力は「道徳の時間」等学校内の教育のみで培われるものではない。そのため地域・.父兄への啓蒙や、地域環境の整備等も本研究部で実施し、「実践力を高める授業」への側面的な役割をも果たしている。

調査、検査の実施では、道徳性診断検査、実践活動自己評価、地域・保護者への道徳性調査、家庭状況分析調査等を行い、その結果を分析・考察をしている。また、広報活動では、「道徳だより」「PTA会報」「学年だより」「学級だより」等に、道徳コーナーを設け、子どもたちの姿を具体的に知らせたり、道徳教育への理解や協力を働きかけたりしている。

環境整備では、「一人一鉢運動」「クリーン作戦」等のほか、「三ない運動」として「事故ない、ゴミない、あいさつしない子ない」を学校内外ともに実践に結びつけ、、さらに本年度より、

「善行生徒の表彰」も実施している。

 

八、研究の成果

研究指定を受け一年半、研究主題、副主題の内容に添う研究と実践に到達するには紅余曲折はあったが、道徳教育推進のため、毎日確実に前進していることは間違いない。日を経るごとに職員の道徳教育への意識が変わり、またどの生徒も明るく素直で、真剣な生活態度になりつつある。これは、全職員の、道徳研究を軸とした一貫した協力と研究熱が、子どもたちに伝わったためとも考えられている。

小学校二校との協同研究ということに初めは戸惑いを感じながらも、互いに授業を参観し、小学校での児童一人一人に対しての気配り、ていねいさなど特に中学校しか知らない多くの職員には、改めて授業の在り方について深く考えさせられた。子供は、地区内の小・中学校の協力体制があってこそ、義務教育九年間の節の通った教育がなされるものと、道徳教育ならずともその重要性を再認識させられた。

また、この研究のため道徳教育計画全般が見直され、改善され、授業全体に工夫がなされることにより生徒の道徳の時間に対する積極生が育ってきている。更に日常の行動様式が好ましい方向に向かっていることも確かである。

これらは、小・中学校の道徳教育研究を中核として、保護者の関心、地区の協力の高まりがもたらしたものと考えてもよいのではないかと思われる。

 

九、今後の課題

「豊かな心を育て」「道徳的実践力を高める」ことは、いずれも現代世相の中で、大人と子どもの双方にとって非常に大きな課題であり、難しい問題でもある。しかし、我々教師も子どもも、この課題解決に向かって少しでも前進しなければならない。

本年度で研究指定は終了するが、これを機会に小・中学校の連携をますます強め、教育の充実・進展のため努力していきたい。

 

地域の環境整備に奉仕(クリーン作戦)

地域の環境整備に奉仕(クリーン作戦)

 

 

 


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