教育福島0133号(1988年(S63)09月)-019page
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すための基本的な視点
学校教育において、コンピュータ等の活用を図るためには、次に示す視点への配慮が必要である。
(一) 学校教育本来のねらいの達成
コンピュータをはじめ各種のメディアの導入に当たっては、学校教育がもつ本来の目的・目標の達成に資するものであることが基本である。従って、児童生徒の理解を助け、思考力を鍛え、創造性を発揮させ、併せて教師の教育機能を補完・拡充し、その指導力の向上に資するものでなければならない。
(二) 新しい資質の養成
コンピュータ等の利用は、一人一人の児童生徒が将来の高度情報化社会において十分能力を発揮しうるように、新しい時代に生きる子どもたちにとってどのような能力や態度・資質が要求されてくるのかを十分把握したうえで、情報活用能力を身につけさせることが必要である。その情報活用能力としては次のようなものが考えられる。
1) 情報の判断・選択・監理・処理能力及び新たな情報の創造・伝達能力
2) 情報化社会の特質・情報化の社会や人間に対する影響の理解
3) 情報の重要性の認識、情報に対する責任感
4) 情報科掌の基礎及び情報事段(特にコンピュータ)の特徴の理解・基本的な操作能力等の習得
(三) 発達段階に応じたコンピュータ等の利用
コンピュータ等の利用及びそれに関する教育を行うに当たっては、児童生徒の心身の発達段階に応じた方法と内容により行うことが重要である。従って校種によりコンピュータ等の導入の目的や方法は異なるべきものである。
以下に、発達段階に応じたコンピュータ等の利用の在り方について述べる。
1) 小学校では、コンピュータ等に慣れ親しませることを基本とするとともに、第一学年から第六学年の長い期間での個の変化、発達段階に十分注意したうえで、それぞれの段階での自己教育力を育成し、トータルな形でコンピュータ等の情報化へのトレーニングシップを身につけさせるよう配慮して行う。
2) 中学校では、より積極的に教科の学習過程に利用するとともに、コンピュータ等に関連する事柄を必要に応じて履習させ、更に生徒の適性に応ずる学習の機会を設ける等の柔軟な対応が望まれる。特に中学校では、進路の選択のうえでも重要な基礎的能力ともなることを留意して、中学校教育の様々な分野でコンピュータ等を利用した教育を展開する。
3) 高等学校では、従来の職業科高校でのコンピュータ等の教育実践を更に推し進めるとともに、産業の変化に対応する情報処理教育を進める。また、普通科高等学校においても、コンピュータ等に関する基礎的知識や技術を習得させるとともに、情報化社会への認識を得させ、社会の変化に柔軟に対応できる態度を養う。
4) 盲・聾・養護学校においては、コンピュータ等を利用した教育の可能性を探りつつ、一人一人の能力を最大限に引き出し、社会参加へ対応できる能力を育成する。
(四) 基礎条件の整備
コンピュータ等の利用の推進に当たっては、コンピュータ等の機器の導入やソフトウェアの開発・蓄積といった基礎条件の整備が必要となる。これらの基礎条件の整備については次のとおりである。
1) コンピュータ等の機器の導入について
コンピュータ等を利用した教育は、児童生徒一人一人が学習課題を追求し、個に応じた指導を進めるものである。しかし学習者が孤立し、コンビュータに従属した形での学習が行われるとするならば、個性が失われ、学習効果もあげ得ないこととなる。そのため、でき得るならば、学習者一人一台の機器の利用が望ましく、かつ、その機器が学習ネットワークとして教師用のコンピュータと連結していることが必要である。
2) ソフトウェアの開発援助について
ソフトウェアの開発は、個人の努力でできるものは限られており、また、その開発には多くの時間と労力が費やされる。そのため当面は研究校による研究、グループ研究等の奨励に努めるが、今後、校種別の組織的な研究開発についての検討が必要となっている。
四、コンピュータ等の教育的利用の現状と課題
(一) 本県におけるコンピュータ等の利用の実態
県教育委員会は、昭和六十三年四月に「コンピュータ等の教育的利用に関する全県調査」を実施したところである。その結果の概略は次のとおりである。
1) コンピュータを設置する学校及びその台数(昭和六十三年三月三十一日現在)
ア コンピュータを設置している学校は、小学校二十九校(全学校数の五・三%)中学校三十校(同十二・三%)であり、台数は小学校八十五台、中学校五十四台である。小・中学校においては、今後、新学習指導要領に基づくコンビュー
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