教育福島0133号(1988年(S63)09月)-050page

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研究実践

レポート

お話の絵の指導

会津地方の民話

〜フクロウの染めもの屋〜

 

会津若松市立城西小学校教諭

馬場 泰

 

一、はじめに

雪国会津にはたくさんの民話が伝わっている。会津に生まれ育った子どもたちに、機会をとらえて、祖先の残してくれた遺産を語り聞かせることは、大人にとって大切なことではなかろうか。それは、子どもたちに、先人の生活の知恵、人間としてのやさしさやきびしさ、思いやりの心、自然の営みのすばらしさなどを感じ取らせることができるからである。図画工作において、語り聞かせた民話の中から一番心に残った場面を絵に描かせることは、子どもたちの感動する心をより繊細に、イメージ豊かに育てることができるものと考える。

 

二、主題設定の理由

現在担任している一年生三十三名は、小学校入学前からテレビやファミコンに明け暮れる毎日を送ってきている。核家族、共働きによる親子間の触れ合いの時間が少ないうえに、テレビ・漫画等の限定されたイメージによる昔話との対面などからは、民話のよさ、素朴なおもしろさを味わっているとはいえそうにない。このような子どもたちにお話の絵を描かせることは、今の時代だからこそ必要なのではないだろうか。

そこで、次の理由から、「フクロウの染めもの屋」を教材として選び実践することにした。

(一) 会津地方に昔から伝わる郷土の民話であり、親しみやすい鳥が登場するので、お話の中にすぐとびこめる。

(二) ものごとの起こりを語る民話の一つで、この期の子どもたちの好奇心に十分訴えるものがある。

(三) お話の中に色彩的イメージが豊かに盛り込まれていて、絵画的である。

(四) 学校の前や学区内に何軒かの染めもの屋があり、地域の中でも比較的身近な店としてとらえることができる。フクロウが染めもの屋を始めるというお話にも素直に入っていける。

(五) みんなで仲良く集団生活をしていく中で、一人がわがままな言動をとるとみんなに迷惑をかけるし、結局は自分も困った事態になるという人間としての生き方の問題が含まれている民話であり、集団生活に慣れ始めた一年生に自分たちの言動を省みさせるのに適した内容である。

 

三、研究の目標会津地方の民話に親しみ、心に残った場面を描かせることにより、感動する心を繊細に、イメージ豊かに育てる。

 

四、研究の仮説

絵の構成要素になりそうなものをス

 

「フクロウの染めもの屋」完成作品(十二月・一年男)

 

 

 

 

 

 


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