教育福島0134号(1988年(S63)10月)-017page

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女性は、妊娠・分娩及び産じょくの合併症とそれぞれ特有の疾患が大きな割合を占めています。

(3) 年代別の受診状況

受診率の高い疾病を、年代別にみたのが表7です。呼吸器系の疾患は、男女とも三十代をピークに下がる傾向にあり、循環器系の疾患、消化器系の疾患は、年代が高くなるにつれ上昇傾向にあります。特に、循環器系の疾患は、四十代から五十代にかけ急上昇し、また、新生物については、年代とともに上昇傾向にありますが女性は、四十代をピークに下がる傾向にあり、男女の違いが現われています。

 

3 診療報酬明細書の一件当たりの日数・金額

(1) 一件当たりの日数

表8のとおり、入院では、循環器系の疾患、精神障害、新生物、筋骨格系の疾患、内分泌栄養及び代謝の疾患の順で多く、外来では、筋骨格系及び結合組識の疾患、損傷及び中毒、泌尿生殖器系の疾患、新生物、妊娠・分娩及び産じょくの合併症の順で多くなっています。

(2) 一件当たりの金額

入院では、新生物五十万八千三百三十九円で最も高く、以下内分泌栄養及び代謝の疾患、循環器系の疾患、筋骨格系及び結合組識の疾患、消化器系の疾患の順になっています。

外来では、入院同様第一位が新生物、以下泌尿生殖器系の疾患、消化器系の疾患、内分泌栄養及び代謝の疾患、先天異常が高額を示しています。

更に、一件当たりの日数を、全国教職員の日数と対比してみますと、入院では、十四・四日と全国平均日数十三・二日より一・二日長く、外来では、二日で全国平均日数二・二日より○・二日短くなっています。

また、一件当たりの金額についてみますと、入院では、二十五万七千六百四十一円と全国平均額二十三万八千三百五十五円より八・一パーセント高く、徳島県に次いで全国第二位、外来では、九千二百十六円で、全国平均額一万二百四円より九・七パーセントも低いが、順位では全国第十七位です。

このように、本県教職員の医療費の特徴は、入院では、日数が長く医療費が高い反面、外来では、日数が短く医療費が低くなっています。

このことについて、要因を分析する全国的資料がなく、本県の特異性の追求は困難ですが、本県の場合、入院では、新生物、循環器系の疾患等の重篤な疾患並びに筋骨格系の疾患、内分泌栄養及び代謝の疾患等長期療養を要する疾患が多いのではないかと考えられます。

 

4 悪性新生物と成人病

疾病分類による受診状況(件数、金額、男女別、年代別)及び診療報酬明細書の一件当たりの日数、金額についての分析調査結果をみてきましたが、更に、死亡率が一番高く、かつ一件当たりの診療金額、日数の多い新生物について手作業により分析を行いました。この結果は、表9のとおりです。

この悪生新生物の受診状況を、本県教職員の悪性新生物による死亡状況と対比してみますと、先ず、受診状況では、男性は多い順に、胃がん、腸がん、肺がんの順になっており、女性は、乳がん、胃がん、子宮がんの順になっております。これに対し死亡状況では、それぞれ受診状況とほぼ同じ傾向にありますが、更に、男性の肝がん、白血病が死亡率高位にあります。一方、女性の子宮がんによる死亡率ゼロは、子宮がん検診等の効果によるものではないかと考えられます。

なお、全体で胃がんに続き腸がん、肺がんが高位を示していますが、これは、日本人全体の傾向と同様、胃がんが減少し、代わって腸がん、肺がんが増加する傾向を示しているものと思われます。

次に、新生物と同様、死亡率、受診率ともに高位を占めている成人病関連の疾病についてみますと、表10のとおり受診状況で男性は、高い順に高血圧性疾患、消化性潰瘍、胃及び十二指腸疾患、女性は、高血圧性疾患、胃及び

 

表8 1件当たり日数、1件当たり金額(62年6月診療)

表8 1件当たり日数、1件当たり金額(62年6月診療)

 

 

 

 


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