教育福島0134号(1988年(S63)10月)-027page
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暇−ひま−
春山 登
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「暇そうですね。ゆとりですか」「余裕ありますね。やる事ないんですか」のんびりとしていると何か悪いことをしている様な気になってしまう。
なぜかこの頃忙しい人が多すぎる。忙しくするための材料を忙しく作り出して、「忙しい忙しい」「時間がない時間がない」と言っている様にも見うけられる。
自転車・自動車・新幹線、飛行機・ジェット機・スペースシャトル、ラジオ・テレビ・キャプテンシステム、郵便・電話・ファクシミリ、パソコン・ワープロ・通信衛生。地球の動きは変っていないのに世の中の動きはいつの間にか非常に速くなっている。地理的距離は変っていないのに、時間的距離は非常に縮まっている。移動時間が速くなってそれにつれて量も増えてくる。それらのものは素速く処理されると次のものが又素速くくる。のろのろしていると処理しきれないうちに次のものがくる。
地球の裏側のニュースもすぐ伝わってくる。円が高いのドルが高いの、アメリカの公定歩合が上がったとか下がったとか、一喜一憂しながら昼夜の区別なくいろんなところでいろんな人が一生懸命働いている。とり残されたらさあ大変と一生懸命がんばっている。時間を惜しんでがんばっている。一日二十四時間を四十八時間に使ってがんばっている。働きすぎと言われながらも一生懸命がんばっている。「忙しい忙しい」「時間がない時間がない」と言いながらがんばっている。
これはもしかするとひょっとすると地球の自転速度がほんの少しずつ速くなってきていて、今は昔の時間で計ると一日が二十三時間五十分位になっていて、そのつまった時間の分だけ忙しさを感じているのではないだろうか。一日に十分短くなると、一週間で七十分、一ケ月で約五時間、一年で約六十時間前よりも短い時間になってしまう。
もし一日が二十三時間になったらどうなるんだろう。働く時間が減るんだろうか、睡眠時間が減るんだろうか、暇な時間が減るんだろうか。早口の人が増え、せかせか歩く人が増え、階段を二段ずつ上り下りする人が増えるんだろうか。百メートルの記録は九・五秒、マラソンの記録は一時間五十九分、光の速さはどうなるだろうか。人や物の動きが全て速くなったら、この世の中一体どうなるのだろう。
この忙しい世の中だからこそせめて学校の中に落ちつきとゆとりを求めていきたいものです。暇って大事だと思います。暇っていいです。ゆとりっていいです。遊びっていいです。暇を有効になんて考えないで、暇を暇にすごすのっていいですね。初めて行った街の公園で一日何もしないで通りすぎる人をながめているなんていいですね。こんなことを考えている私にも周りの忙しさが押し寄せ、新幹線に乗せられてしまいます。忙しい……。
(県立郡山北工業高等学校教諭)
なわとびとの出会い
斎藤仁
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人は、いつ、どこで、どのように変わるのか、本人にとってもわからないことが多いものです。
私となわとびの出会いもそうでした。大学卒業後、小学校教員一年目の冬、子どもたちの体力づくりのために、持久走や、なわとびを取り入れてみました。
私はなわとびについて全く習ったこともなかったので、子どもたちにどう指導したらよいかわかりませんでした。
体育の副読本には、子どもの興味・関心を湧かせるほどの技や種目は載っていませんでした。
そんな時、かつて恩師の引越しの際に頂いた古ぼけたなわとびに関する資料のことを思い出し、本棚を探しました。
ありました、何と百十二種類のもの短なわとびの種目が網羅されています。
それからでした、毎日休み時間や放課後、家の庭での練習が続きました。
子どもたちの前に立つ指導者ができないということほどつらいことはありません。
授業や休み時間に子どもたちと一緒に跳んでみて感じたことは、子どもは見て理解し、大人は頭で分かるということでした。
また、よく「失敗に学ぶ」という言葉がありますが、子どもたちは失敗の中から技を創作するのでした。
我々大人は子どもたちの力をだいたい決めつけてしまう傾向にあります。
あれから十年、なわとびを指導して感じたことは、「子どもは大人の想像
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