教育福島0134号(1988年(S63)10月)-043page

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用した。

4)調査領域

○学習指導の現状

○個人差に応じた指導の現状

○個別化・個性化を目指す学習形態

○教育システム

○児童生徒の実態把握

○「基礎・基本の定着と個性の伸長」に関する意見

5)調査のまとめ

ここでは、「個人差に応じた指導の現状」に関する調査領域の結果と考察についてのみ述べることにする。

図1 のように、個人差に応じた学習指導については、大部分の教師がその必要性を感じているが、 図2に見られるように、実際の学習指導では種々の困難に直面していることがわかる。よりよい指導法の確立のために、具体的な対応の仕方を追究することが必要であろう。

図3 からわかるように、校種の別なく、教師が個人差を感じている対象は、「知識・理解」である。このことは、知識面に重きをおいている意識の表れともうかがわれる。一方、「見方や考え方」については、全般的に意識が低い傾向にある。

また、指導する単元(題材)に入る前に「特にどのような内容を調べているか」という質問に対しても、やはり知識や技能に重きがおかれ、「見方や考え方」などの面に対する意識の低い傾向がうかがわれる。

これらのことは、学習指導において個人差に応じて一人一人を大切にしていくという視点から見たとき、一人一人の適性にまで目が向けられていない現状を示しているものと思われる。

今後は、興味・関心や適性を生かしながら個性にかかわる「見方や考え方」などを重視する学習指導が、児童生徒一人一人の個性を生かし、伸ばすために極めて重要であると考えられる。

更に、この調査から、個人差に応じた指導を展開するためには、進度の違いに応じて進める学習や、興味・関心に基づいて「学習コース」、「学習方法」を選択して進める学習など、学習形態を工夫することの大切さがうかがわれる。また、ティーム・ティーチングによる指導や多目的スペースを利用する指導などの工夫も必要であると言えよう。

なお、本研究の第一年次分の詳細については研究紀要第七十二号(六十三年三月発行)をご参照願いたい。

 

四、第二年次の研究

本年度は、研究協力校において検証授業等を通して主題を追究する。

【研究協力校及び検証教科】

○福島市立福島第二小学校(国語科)

〇川俣町立川俣南小学校(社会科)

○福島市立吾妻中学校(数学科)

なお、この研究の成果は、紀要として刊行する予定である。

 

(注)ジェクタビリティ(Jectability)

造語 ジェクタビリティは、judge-ment(判断) exprssion(表現)creation(創造)thought(思考)のそれぞれの頭文字に-ability(能力)を合成したものであり、判断力、表現力、創造力、思考力等の能力と規定して用いる。

 

図1

図2

 

図2

図3

 

図3

 

 

 

 


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