教育福島0134号(1988年(S63)10月)-045page
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ことが人間形成にとって大切なことである。
(3)子どもの病理現象には親の養育態度が大きく影響する。
(4)少子家庭などで、子どもの共みがきの機会が少ないので、団体活動など積極的に勧めたい。
※第二回目の大熊町会場には百七十名の参加があり、次のような提言がありました。
(1)今の若者をみると年齢相応のたくましさが身についていない。これは、彼らが成長過程において、それぞれの時期の発達課題を達成しないままに成長してきたからではないだろうか。
(2)健康でたくましく生きていく条件は何か。最近の子どもは大人のかかる成人病と同じ症状を持ってる者が多い。
(3)不登校児の特徴として、自立心やたくましさに欠ける子が多い。これらの提言ではいずれも現代の子どもに必要な「たくましさ」が強調されました。
(二)相談事業にみる傾向
次に昨年度実施した巡回相談と電話相談から相談傾向を紹介してみます。
◆巡回相談事業
六十二年度は八市町村、八会場で実施し、相談件数は男児対象が九十五件、女児対象が七十八件となっています。
相談内容の傾向は図1のとおりです。相談対象者は幼児期から小学校低学年児がほとんどで、しつけや生格に関する内容が多く、特に第二子誕生による第一子の「赤ちゃん返り」の心理が理解できず子育てに自信をなくしている若い母親の姿もみられました。また、相談を通して感じられたこととして、最近の若い親は自分達の生活リズムに子どもを合わせるなど、子どもの望ましい成長を妨げている傾向も感じられました。
◆電話相談(すくすくダイヤル)事業
六十二年度の相談件数は四百十九件、相談対象者の件数は四百五十四件で、前年より相談件数で三十件増えています。
月別では、夏休み後の九、十月が多く、曜日別では金曜日が多くなっており、例年の傾向とはほぼ同じでした。
表1は相談対象者区分別の相談内容の傾向です。乳幼児期が五十パーセントを超え、健康、育児、保育に関する相談が圧倒的に多くなっています。
小学生期においては対人交遊やしつけの問題が多く、中・高校生では対人交遊に加えて学業成績の相談も多くなっています。登校拒否に関する相談は中学生期で一番多くなっています。
電話相談者の八割は母親であり、中・高校生では本人が直接に電話をかけてくる例もみられました。
三、今後の課題
すこやかな子どもの成長をねがって望ましい家庭教育の実現を図るには、子どもの発達に応じた発達課題を親がしっかりと認識する必要があります。
そのため、親自身が自己の教育力を高めるための学習が必要です。
学習したいという親の声は確かに多くなってきていますが、母親の就労や社会参加も進み、また、父親の単身赴任等も多くなっており、学ぶ条件が整わないのも事実です。
従って、社会の変化に追いつけない親も多く、家庭の教育機能の低下の要因にもなっています。
これらの課題をうけ、家庭生活や地域社会の条件整備を図るとともに、乳幼児を持つ親や働く親に対する学習機会の拡充などの施策の充実が求められています。
それには、市町村や学校で行う家庭教育学級等でこれらの状況を十分に取り入れて開設する必要があります。
また、民間企業との連携による、企業内における学習機会の拡充も今後の課題といえます。
家庭教育の充実はそれ自体重要なことですが、学校や地域社会それに社会教育関係団体との連携を強め、人的、物的、社会的資源の活用などを図ることが時代の要請に応えられる家庭教育の充実に結びつくと言えるでしょう。
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シンポジウムでは示唆に富む提言が
図1.相談内容の傾向 昭和62年度の巡回相談より
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表1 電話相談対象者の区分及び相談内容
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