教育福島0135号(1988年(S63)11月)-009page

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う存分生き生きと学習活動に取り組み、自己決定ができるようにする。

・ 児童生徒一人一人が、課題意識と見通しをもって学習できるよう援助指導する。

・ 自己評価や相互評価を工夫する。

 

三、個性を生かし、個人差に応じた指導の展開

(一) 「学習は個に成立する」と言われるが、そのためには児童生徒一人一人の個性を最大限に尊重しながら個人差に応じた指導をしなければならない。個人差とは能力、適性、学力はもちろん、学習速度、学習の仕方、学習意欲、学習態度、学習スタイル、興味・関心、生活経験的背景等を含むものであり、これらを的確に把握することが大切である。

(二) 学習不適応や学業不振で悩んでいる児童生徒については、教育相談を計画的に行い、内面的な心情の理解と適切な援助指導をする必要がある。

(三) 個人差に応じた学習指導をするに当たっては、次の点に配慮する。

・ 教師主導の一斉・画一的な指導ばかりでなく、児童生徒の主体生や論理を十分に尊重する。

・ 一人学習、ペア学習、グループ学習等、学習形態の最適化に努める。

・ 学習内容の習得状況を常に確かめながら個人を生かし、伸ばすための発問や板書等を工夫する。

・ 個に即して到達目標や学習課題を設定するとともに、学習時間や学習量を調整する。

・ 視聴覚教材の開発やコンピュータ等の教育機器の活用を積極的に行う。

 

四、基礎・基本の確かな定着を図るための指導の徹底

(一) 基礎・基本とは学習指導要領で示されている目標や内容であるととらえ、それらを当該学年で児童生徒一人一人に確実に身に付けさせることは、次の学年の学習の基礎となる。児童生徒の学力の実態と問題点を明確に把握し、基礎・基本を習得させるための指導を徹底する必要がある。また、豊かな思考力、表現力、創造性を育成するためには、基礎・基本を確実に習得させることが必要である。

(二) 基礎・基本を児童生徒一人一人に確かに身に付けさせるためには、特に次の点に留意する。

・ 指導内容の系列・系統を的確にとらえ、適切な順序で指導するとともに、児童生徒の実態に即して教材の精選と指導の重点化を行う。

・ 反復練習の場と機会を数多く設定し、指導の徹底に努めるとともに、形成的評価を行い、児童生徒一人一人の習得の程度やつまずき状況を的確に把握し、必要に応じてフィードバックや補充指導等を行う。

・ 導入、展開を効率的に進めるとともに、終末には十分な時間を確保し、自己評価や相互評価を行ったり、まとめたりする。

また、復習や次時のための予習等が円滑になされるよう指導助言する、

 

五、望ましい学習環境の構成と児童生徒一人一人を生かす学習集団の育成

(一) 「環境は人をつくる」と言われるように、環境は個の成長に大きな影響を与える。そこで、次の点に配慮する。

・ 整理整とんや美化に努める。

・ 言語環境を整える。

・ 児童生徒の興味・関心を喚起するような掲示を工夫する。

(二) 個が集団の中で孤立したり、埋没したりしては個は育たない。一人一人を生かすには次の点に配慮する。

・ 児童生徒相互の望ましい人間関係を確立する。

・ 相互に認め合い、励まし合う雰囲気を醸成する。

・ 一人一人が目標をもち、互いに高め合う学級づくりに努める。

 

次に紹介するのは、「学ぶ力の育成」に取り組んだ棚倉町立棚倉小学校と、「自ら生き生きと学習する生徒の育成」をめざしたいわき市立江名中学校の研究実践である。

各学校においては、その研究成果を大いに参考にしてほしいものである。

 

学習意欲を高めるための指導法の改善

−学ぶ力を育てるための授業の実践−

棚倉町棚倉小学校

 

一、主題設定の理由

過去の研究の経過から、すべての授業を児童の立場からもう一度見直し、児童自らが「わかるようになった」「できるようになった」と自覚し、学習した喜びを味わう授業づくりをめざす必要があることがわかった。

このためには、学習したいという興味や関心、意欲を高めること。粘り強くやり遂げる意志、信念を培うこと。観察力、思考力、表現力等諸能力を育てること。共に学ぶ価値を感得させることによって、自ら学ぶことのできる力を身につけさせることが肝要であると考えた。

これを包含して「学ぶ力」とおさえ、国語科と算数科を中心に、学ぶ力を育てるための学習指導の在り方を探究し

 

 

 


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