教育福島0135号(1988年(S63)11月)-016page

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践例を紹介し、今後の参考に供したいと考える。

 

「総合社会」における国際化の学習指導

県立福島南高等学校

教論 阿部 正春

 

一、国際化の学習指導と社会科関係の専門科目

国際化の学習指導は、まず全学科の必修科目である「現代社会」において展開される。その指導内容は日本の国際化の諸現象の理解と意識面での国際化の課題および異文化理解の学習が中心である。

このような「現代社会」における学習指導を踏まえ、二年次以降には「総合社会」をはじめ「日本文化史」、「外国文化史」、「世界地誌」、「地域文化研究」という専門科目においてさらに発展を図っている。

 

二、「総合社会」において国際化の学習指導

国際化の学習指導の展開例として、「総合社会」(文理科文系二・三年)での事例を紹介する。

(一) 「総合社会」の目標と内容

「総合社会」は社会科関係の専門科目として教育課程の中に位置付けられているが、その目標と内容は資料1の通りである。

(二) 内容構成の原理

・社会科における総合化にはいくつかの視点がある。代表的なものは総合化とは多様な社会事象を統合することであるとする視点と、多様な社会事象を生み出す人間そのものの原像へと回帰することであるとする二つの視点である。(注1)

「総合社会」においては後者をとり指導内容の構成の方針を次のようにまとめた。

「現代社会」の学習指導の成果を踏まえ、社会事象を「歴史・地理・政治・経済など広い領域に立って」とらえ直すことにより、社会事象を作り出している人間そのもの理解を深める。

この方針に基づく今年度分の指導内容は資料2の通りである。

(三) 国際化の学習指導の目標

前述した「総合社会」の目標と内容構成の方針に基づいて、国際化の指導目標を次のように設定した。

(ア)  「現代社会」の学習の成果に基づき、国際化に関する社会事象をさらに歴史、地理、政治、経済、社会などの観点から理解を深めさせる。

(イ) その際、国際化の対象になる各社会集団についての認識を通して、社会集団の形成者・主体としての自己のあり方について理解を深めさせる。

(四) 国際化の指導内容と計画

国際化の学習指導内容の項目と指導計画は資料3の通りである。

単元構成は、「総合社会」の内容項目(1)〜(5)の指導内容を含む融合的な単元である。

 

資料1「総合社会の目標と内容

一、目標

社会事象を歴史・地理・政治経済的など広い領域に立って、総合的に考察し、社会に対する認識を深め、国家の有為に、国際社会の一員として活躍する基礎を養う。

二、内容(小項目略)

(1)個人と行動

(2)現代の社会生活

(3)他の時代と他の場所との比較

(4)国民と労働

(5)権力とその作用

 

資料2 今年度の「総合社会」の内容構成

第一章 人間とはなにか

第一節 社会科する人間(人間はどのような自己に係っているか。)

ア 人間と学習  イ パーソナリティー  ウ 個人と社会集団

第二章 社会生活と人間

第一節 現代の社会生活(人間はどのように共存しているか。)

ア 家庭  イ 学校  ウ 地域社会  エ 工業化と都市生活  オ レジャー  カ マスメディア  キ 若者文化

第二節 他の時代と他の場所との比較(どのように共存してきたか。)

ア 古代人と現代人

イ 古代文明と現代文明、他国の人々と文化

 

資料3 「総合社会」における国際化の学習指導計画

一、国際化の主体(2時間)

(a) 社会集団の一員としての出会い

(b) 国際社会での人と人との出会い

二、国際社会の歴史(8時間)

…国家社会・経済社会のあり方は人と人との出会いにどのように関係してきたか。

(a) 西欧国家の発展と国際社会の形成

(b) 日本の海外発展の歴史

(c) 国家と人々の生活

三、国際化の課題(4時間)

(a) 国家主権の問題

(b) 日本の国際化の条件

 

 

 


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