教育福島0135号(1988年(S63)11月)-017page
(五) 実践例
紹介する実践例は、国際化の単元全体の導入部で行った授業の教材資料(資料4)と指導案(資料5)である。
「総合社会」の教材には、準教科書として「社会学入門」(有斐閣新書)を用いているが、適切な教材がない場合には、学習プリント(資料4)を作成して使用している。
この実践例の学習指導の要点は、国家中心に国際化を考えている生徒の意識を問題化し、国際化は国家以外の様々な社会集団のレベルでもとらえられるべきであることを社会学的な視点を導入して理解させることである。
そして次に展開される、異なる社会集団一社会規範)に所属する日本人と外国人がどのように出会ってきたかという歴史的な観点からの学習指導も併せて、国際化への態度決定を求められている様々な社会集団の主体としての自覚を高めることである。
(六) 今後の課題
このような学習指導の成果については、まだ国際化の学習指導が継続中であるため判断を控えるが、「総合化が実現すべきであるのは生徒の中であって、個々の授業や単元構成の上なのではない」(前掲論文)という観点に立った評価方法の開発など、今後の研究が必要である。
その他、国際化の学習指導に関しては、「総合社会」をはじめとする専門科目と「現代社会」との指導内容の構造化を図り、さらに英語科との連携を進めるなど研究課題は山積している。(注1)小西正雄「社会科実践におけ
資料4 「総合社会」学習プリントの例
資料5 実践例の学習指導案