教育福島0135号(1988年(S63)11月)-040page

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障害児教育の充実をめざす

−養護学校教育義務制施行10年を迎えて−

養護教育課

 

昭和五十四年度の養護学校教育義務制施行により、すべての障害児を対象とした教育が、名実ともに行われるようになって今年が十年目である。そこで、以下に、養護学校教育義務制施行の経緯と、義務制施行後の養護教育変遷について述べる。

 

一 養護学校義務制施行までの歩み

心身に障害を持つ学齢児童生徒に対して、健常者と同じように憲法第二十六条の「教育を受ける権利」を保障するために、学校教育の義務化は欠かせない条件である。

すでに学校教育法では、昭和二十二年の制定当時から盲・聾・養護学校の小・中学部の設置を義務づけていたが、学校の整備等の関係で、盲・聾学校については、昭和二十三年度小学部第一学年から、学年進行により実施され、昭和三十一年に至って、九年の義務制が完成した。しかし、養護学校については、その後義務化されないでいた。

養護学校については、昭和四十八年十一月二十日に「学校教育法中養護学校における就学義務及び養護学校設置義務に関する部分の施行期日を定める政令」(三百九十九号)が出され、昭和五十四年四月から義務制実施となった。

 

二 就学猶予・免除者の減少

養護学校教育の義務化に伴い、それまで就学を猶予や免除されていた児童生徒が、養護学校に通学したり、訪問教育を受けるなど、学籍が与えられ、障害に応じた適切な教育の場が多くの児童生徒に与えられるようになった。

全国的にみても、就学義務を猶予免除された児童生徒の数が、昭和五十三年度から昭和五十四年度にかけ激減している(下のグラフには教護院や少年院にいるためや、その他の理由により就学猶予免除を受けている児童生徒を含む)。その後は少しずつ減少し、本県においては肢体不自由、病弱虚弱、精神薄弱ということで就学猶予免除になっている児童生徒の数が、昭和五十三年度は百十三人だったのが、昭和六十三年度にはついに八名となった。かつて就学の猶予や免除を受けていた人たちが、学校教育体系のなかに組み込まれていくことになったわけで、今後はその対応が十分満足できるようにしていかなければならない課題を負っているといえる。

 

三 国際障害者年

国際連合が昭和五十六年を、「完全参加と平等」を目ざす国際障害者年と定め、続く十年間は世界的規模で障害者に対する様々な見直しがなされる契機となった。

我が国においても、「国内長期行動計画」や「障害者対策に関する長期計画」が策定され、啓発広報活動、保健医療、教育・育成、雇用・就業、福祉・生活環境等多くの面から障害者について焦点を当てた施策が講じられてきた。

 

四 養護教育センターの設置

全国でも数少ない教育と医療が機能的に連携した養護教育センターが、昭和六十一年四月一日郡山市に設置された。養護教育センターでは、心身障害児の養育・就学、学校での指導に関する相談を、養護教育センターや県内三か所の地域相談室、県内五か所の巡回就学相談等で行っている。

養護教育センターで行う教育相談では、必要に応じて同一建物内にある県心身障害総合療育センターの医師と連絡提携して、医療面からのアドバイスも受けられるようになっている。

地域相談室や巡回就学相談では、児童生徒の養育や就学について、経験豊かな教師が悩みや不安、疑問を持っている保護者を援助し、障害児が伸び伸びと生活し、そのなかで持てる力を十分に発揮できるように親身になって相談を行うようにしている。このことは市町村教育委員会が行う就学指導の充

就学猶予・免除者数(全国)

 

 

 

 


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