教育福島0135号(1988年(S63)11月)-041page

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実にも貢献している。

また、養護教育センターで行う研修では、障害児を担当している特殊教育諸学校、特殊学級、幼稚園、保育所の担任、寄宿舎職員など多様な職種にわたり、受講者のニーズに合った研修講座を実施している。

さらに、心身障害児に関連した図書の閲覧・貸出し、心身障害教育に関する研究、そして、心身障害児教育の啓発のための広報誌の発行などの業務を行っている。

 

五 中・重度児に対する教育

昭和五十四年の義務制に向けて、全国的にも養護学校の急増期を迎えた。特に精神薄弱を対象とする養護学校の増加は著しい。

本県でも、この時期に精神薄弱者を対象とした県立の養護学校が六校開設されている。児童福祉施設や病院と提携した郡山養護学校安積分校が昭和五十二年に、猪苗代養護学校、富岡養護学校が昭和五十三年に、大笹生養護学校、石川養護学校が昭和五十四年に開設される一方、昭和五十八年にはいわき市に通学制のいわき養護学校が開設された。

そして、昭和五十三年十月六日に文部省通達(文初特第三百九号)「教育上特別な取り扱いを要する児童・生徒の教育措置について」が出され、特殊教育諸学校や特殊学級に入級する児童生徒の判断基準が明確になり、適正な就学がなされるようになった。

昭和六十年十二月二十七日「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法津」により公立の小・中学校の特殊学級については十人、特殊教育諸学校については七人(いわゆる重複障害学級にあっては三人)を一学級の児童又は生徒の数の標準として、昭和六十六年から学級が編制されていることになっている。

 

六 軽度障害児に対する教育

昭和五十三年八月十二日に特殊教育に関する研究調査会(辻村泰男会長)から「軽度心身障害児に関する学校教育の在り方」という報告が出された。これは昭和五十四年四月一日からの養護学校教育の義務制が施行後における特殊学級の在り方について、三年間の検討の結果として出されたものである。

特殊学級については、小・中・高等学校に置くことができると法令上なっているが、設置が義務づけられているわけではない。

本県の場合、小・中学校には、肢体不自由を除き、障害の種類に応じた特殊学級が設置された。このため、障害児の教育機会は著しく拡充された。

 

七 教育目標の変化

養護学校教育の義務制が施行され家庭や施設にあって就学猶予・免除されていた重複障害児に対しても学校教育が保障された。これに伴い、養護教育を受ける重複障害児は増加し、盲・聾・養護学校においては、障害の重度化・重複化が進行してきた。このため、各学校においては重複障害児に対する適切な教育内容の選択と指導法の確立が大きな課題となってきた。

そこで、まず第一に児童生徒の日々の生活を充実し豊かにすることを考えた指導をしていく必要がある。次に重複障害児のこれまでの生活環境や養育環境及び発達過程に関する実態を的確に把握し、一人一人の教育上の課題をとらえ、教育内容を実態に即して位置づけることが大切である。

 

八 教育内容・方法の改善

教育内容・方法について一層の充実を図るため、文部省では「心身障害児理解推進校」や「心身障害児適正就学推進研究校」等の指定事業を、及び県独自に「重度・重複障害教育研究指定校」の事業や「養護教育交流推進事業」として「交歓会」や「合同野外活動」を導入してその充実を図ってきた。

更に一教職員の資質の向上を図るため、特殊教育内地留学等、専門研修派遣事業をはじめ、障害の種類や程度に応じた研修会・講習会を開催し、教育内容・方法の開発、就学相談講習会、教職員の研修等を実施し、養護教育の充実を図るべく、体制を整えてきた。

文部省でも、児童生徒の障害の重度化、重複化に対応して、手引書や文部省が著作の名義を有する教科書などを改訂してきている。

養護学校教育義務制により特殊教育諸学校が新しくでき、入学してくる児童生徒が変わってきた。それに伴って教育内容・方法などが工夫改善されてきている。しかし、これからの養護教育を振興発展させていく原動力は、養護教育に携わっている先生方であることを改めて確認し、研修に励み、児童生徒の充実した生活を保障する努力を重ねたいものである。

日々の生活を豊かに充実させる教育の実践

日々の生活を豊かに充実させる教育の実践

 

 

 

 


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