教育福島0135号(1988年(S63)11月)-042page
研究実践
レポート
グループ研究の紹介
1 「商業研究グループ」
県中地区情報処理担当教員
2 「工業研究グループ」
県北・県中・南地区情報技術等担当教員
はじめに
県教育委員会は、教員の自発的な研究活動の促進を図り、教員の資質の向上と指導法の改善充実に資することをねらいとして、県内の小・中・高校教員の自主的な研究グループを対象として「福島県教育研究グループ奨励費補助事業」を行っている。
昭和六十二年度は高等学校関係として、県中地区情報処理担当教員による「商業研究グループ」、県北、県中・南地区情報技術等担当教員による「工業研究グループ」が対象として選ばれた。いずれの研究も、CAI教材の開発とそれを活用した学習指導のためのマニュアルを作成したものである。今後のCAI学習のあり方について参考となるものと思われるので、二グループの研究成果の概要を紹介する。
アルゴリズムの学習について
商業研究グループ
昭和六十二年度の教育研究グループの研究の指定を受け、「商業研究グループ」として研究を進めてきたがその研究内容の主なるものを紹介いたします。
大きな成果「研究報告書」
一、研究テーマ設定の理由
研究内容は今日の情報化時代にふさわしい情報処理関係のCAIソフトの開発とした。
研究する上で、どのようなCAIを導入すれば望ましいかが最大の留意点であった。従来のドリル型、問い合わせ型、授業補充型等から、もう一つ進めて汎用性や応用性のあるCAIソフト作りを目指した。
研究テーマは、「アルゴリズムの学習」に設定した。
その主な理由は、どのプログラム言語にも共有できること。コンピュータを学ぶためには不可欠なアルゴリズムを「流れ図を作成すること」によって習得させること。学ぶ人が自由に流れ図を作成できるようにすること等である。
二、研究組織と研究経過
研究会は、研究の場を提供していただいた郡山商高を中心に、隣接の商業科設置校、本宮高、小野高、須賀川高からの計七名のメンバーで組織し取り組んだ。
研究期間は、五月末から翌年三月末までの約十か月間であり、研究会を開くことも各学校の行事等で調整が難かしい時期もあったが、日曜日や長期休業中を中、心に集まり、写真のような研究報告書にまとめることができた。
三、研究内容の概要
前述の研究テーマの設定を前提とし、さらに目標として次のことをかかげて具体的研究内容を検討した
1)生徒の実態を把握すること
2)生徒に興味・関心を抱かせること
3)生徒の創造性を高めること
4)生徒が自主的に学習できること
5)表示画面の展開だけによる学習を避け、テキストや教科書を併用して活用させること
以上を踏まえて、内容は商業の専門科目である情報処理1)の範囲内とし、生徒が特につまづき易い内容を五つの分野に分け、各分野ごとに例題・実習問題を配し、基礎・基本から応用まで組み入れた。
各分野の内容は次の通りとした。
1)直線型の学習
2)直線型二分岐の学習
3)直線型三分岐の学習
4)繰り返し処理(終了判定)の学習
5)繰り返し処理(カウント)の学習
四、研究内容
本稿では、基礎・基本となる「直線型の学習」の分野を中心に紹介する。
1)基本メニュー画面
各分野の内容を自由に選択する。
2)直線型・繰り返し処理、メニュー画面
例題・実習問題を自由に選択する。
3)例題画面
簡単な例題を提示し、流れ図の基本的な形を理解させる。
4)例題トレース画面
例題の内容に具体的数字を入力させ、流れ図の処理順序に従って、コンピュータの記憶場所の内容がどのように変化していくか理解させる。
5)例題変数名画面(図1)大きな成果「研究報告書」