教育福島0135号(1988年(S63)11月)-043page

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情報処理の学習をしていく場合、変数名の意味、使用のしかたでつまずく生徒が多いという実態から、トレースの流れ図を左側に残し、対照させながら、右側の流れ図に直接変数名を入れさせるようにした。さらに、変数名が入ると記憶場所の名前が変数名に変化するようにし、変数名について理解できるようにした。

6)実習問題

基本問題から応用問題へという順序で五問出題し、自由に選択できるようにした。

実習のしかた

ア)実習をしたい問題を別刷りのテキストから選択し、該当する問題を画面に表示する。(図2)

イ)記号入力モード画面では、画面の下部に示した流れ図記号の番号を自分の考えで自由に選んで入力すると、流れ図記号が画面に表示されるようにした。

ウ)流れ図記号の表示が終わると、命令入力モードに切り替える。作成した流れ図記号の中に、考えられる変数名や計算式を入力して進めて行き、画面の切り替えはキーの選択により自由にできるようにした。

エ)表示画面の指示により、テキストの通り数字を入力し実行結果が表示される。テキストの処理結果と同じ値であれば作成した流れ図は正解となるようになっている。

オ)正解の流れ図をテキストに記入し、学習の成果として残す。

以上、実習問題の学習の仕方をフローチャートで表わすと図3のとおりである。

すべてのプログラムはBASICで組んである。実習問題での特徴は記号モードで、ある記号を選択すると自動的に該当する命令がプログラムされる。例えば、口へ入出力記号を選択するとをINPUTとなり、変数名Aを入力するとINPUT Aとプログラムされる。結果として、生徒の作成した流れ図通りにプログラムが作成され実行されるようになっている。流れ図が誤っていれば誤った処理結果が表示され、正解でも生徒の考え方により幾通りの流れ図が作成される。ここでは生徒の創造性を尊重するため敢えて模範解答は表示しないことにした。

テキストは、生徒が自主的に学習できるように配慮し、学習のしかたや、すべての表示画面を掲載し、更に実習問題の右頁には、参考資料やヒント(KR情報)も付け加えている。

 

五、研究の成果

 

今回開発したソフトの成果をみるために、正規の授業内容を終えて余裕のある生徒や部活動の生徒に対して実施してみた。結果は珍らしさも加わって好評であった。特に例題や例題のトレースなどは興味をもって画面に集中する姿が多かった。以下次のような成果がみられた。

1)CAI学習という珍しさも加わり興味・関心は高かった。

2)特に例題や例題トレースについては強い興味を示し、流れ図や記憶場所の値の変化を熱心にとらえて「なるほど」、「わかり易い」という声も多かった。

3)操作等に慣れた生徒には完成した流れ図からプログラムを自主的に作成して実習する者もみられた。

4)自分たちの作成した流れ図を互いに話し合って検討する相互学習の姿が見られた。

5)他人が作成した流れ図と異なっても処理結果が正しければ正解なのだということが実感でき、まず自分で

 

図1 例題変数名画面

図2 問題の画面表示

 

図2 問題の画面表示

図3 実習問題の学習のしかた

 

図3 実習問題の学習のしかた

 

 

 

 


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