教育福島0135号(1988年(S63)11月)-044page
作成してみようという姿が出てきた。
六、研究を終えて
CAIによる学習は、生徒も興味・関心をもって取り組むことが多く有効であり、加えて指導者が、CAIの特性を理解し、学習の対象者、方法、展開等を研究して活用すれば、大きな学習効果を得ることは実証されている。
より多くの人たちが、CAIソフトを開発し、各学校で相互に活用していけるようになれば素晴らしいことだと感じるとともに、そのような意図も含んで、今後も授業で活用できるソフトの開発に取り組んで行きたいと思っている。
CAIソフトの基礎研究
工業研究グループ
一、はじめに
現在、工業高校では、従来からのプログラミング等の学習に加えて、パソコンを各教科の学習指導に活用するCAI学習が盛んになりつつある。このパソコンを活用したCAI活用を充実していくには、ソフト教材の整備が必要不可欠であり、開発の成否は、日頃授業の改善に取り組んでいる教師のアイディアと熱意によるとところが大きい。
授業に実際に活用できるCAIソフト教材の開発を目標に結成した「工業研究グループ」の基礎研究の成果を紹介し、CAI学習の一層の充実を図る一助としたい。
二、研究内容・方法
ソフトの開発には、かなりの知識と労力、時間を必要とする。パソコンの優れた機能・特性を十分生かし、授業のどの場面で活用するのが最も効果的であるか、などについて考慮しながら、実際の授業に誰もが使えるソフト教材の開発をめざし、およそ次の内容、方法で、その基礎研究に取り組むこととした。
1、研究グループ員一人一人が実際にソフト教材を開発し、CAIソフト教材開発上の問題点や効果的なソフト教材作成について研究しあう。
1)操作が容易で誰にでも使えるもの
2)効果的にカラーやアニュメーションを使ったもの
3)他の教材では得られない効果が期待できるもの
2、県内各校において、熱心な先生が開発した優れたソフト教材があり、それぞれ利用されてきた。しかし、内容がよく知られていないので、県内の工業科設置校を対象に、自作ソフト教材についての調査を実施し、お互いに広く利用しあえるよう「自作ソフト教材要覧」を作成することにした。
CAIによる一斉授業
三、研究内容の紹介
1、シミュレーション型ソフト教材例
今回開発した九本のソフト教材のうち、六本がシミュレーション型のソフト教材である。
この型のソフトは、パソコンのグラフィック機能とカラー画面を効果的に.使用することにより、学習者に親しみを持たせ、複雑な現象を分解して見せることができるため、電気で扱う交流現象のように時々刻々その変化が問題となる学習内容には最適である。最初にこれらのことに当てはまるソフト教,材を二つ紹介する。
(1) 半導体回路シミュレータ
本ソフトは、ダイオード、トランジスタおよびそれを含む回路の学習のために作ったもので、実際の特性データを用いてパラメータやバイアスを変えた時、それに応じた入出力信号のアナログシミュレーションが出来るもので、半導体回路の学習とデータ処理、回路の設計、解析にも利用できる。(図1)
(2) 電圧計、電流計の読み方
このソフト教材は、実際に実習を行っている感覚で、以下のことが学習できるように開発したものである。
ア)端子選択ができる。
イ)指定された値に指針を合わせることができる。(図2)
ウ)値を正確に読むことができる。
エ)終了後、自分がどの程度の誤差の範囲内で読んだのかを知ることができる。
2、個別学習のソフト教材例
(1) ダイオードとトランジスタの基本
動作の学習
図1 特性の3次元表示