教育福島0135号(1988年(S63)11月)-045page

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このソフトはダイオードとトランジスタの基本的な動作原理が次の四つの章でアニメーション的に説明されている。(図3)

ア)原子核モデル イ)半導体とキャリアウ)ダイオード  エ)トランジスタ

またそれぞれの章の終りには練習問題があり、この問題に全問正解しないと次の章には進めないようになっている。

このソフトのように、理解しにくい現象をアニメーションで説明していくと生徒も興味を持って学習できるが、説明の文字数が多い場合、生徒が画面の文字を飛ばし読みすることもあるので、学習効果が期待したほどあがらないこともある。これを解決するには説明を音声で行う方法がある。今回開発したソフトの中にも「音声合成ボード」を利用して、音声による指示を工夫した「低周波増幅回路設計」がある。音質的にはもう一歩であるが、これからのCAIソフトの進むべき一方向であると考える。

3、学習形態に合った、便利で使い易いソフトの開発例

(1) FORTRANプログラミング学習支援ソフト

このソフトはパソコンからのメッセージに対して、はい、いいえ、あるいは番号を選択するだけで誰でも単にプログラミングの学習が出来る対話型の学習支援システムである。(図4)

なお、このソフトで工夫した点は次のとおりである。

ア)処理が高速になった。

イ)誰でも簡単に操作ができる。

ウ)データファイルの作成が簡単な操作でできる。

エ)プログラムの訂正、追加に便利なソースファイルをコピーする機能を持たせた。

オ)実習時に起こったトラブルやエラーの対策を教師がファイルに保存蓄積し、以後の指導に役立てることができるようになった。

4、自作ソフト教材要覧について

それぞれのソフトについて自作ソフト教材をお互いに広く利用しあえるようにソフト要覧を作成した。できるだけ項目数を多くし、「ソフトの要点」を載せることによって利用者の便を図った。集録できたソフトの本数は五十一本でその用途別の内訳は、教材用三十三本(六十五パーセント)、校務処理用十三本(二十五パーセント)、その他用五本(十パーセント)である。

 

四、おわりに

 

(1)研究のまとめ

CAIソフト教材を開発し「そのソフト教材を授業で試験的に使用した結果、次のような成果が得られた。

ア)生徒の興味と関心が増し、積極的に取り組むようになった(自学自習の増加)

イ)生徒の能力に応じた指導ができ、理解の遅い生徒の補習がしゃすくなった。

(2)今後の課題

この研究実践を通して、今後一層研究を進める必要があると考えられる事項は次のとおりである。

ア)できるだけ紙と鉛筆、そして電卓を必要とするソフトを考える。(キー操作のみのソフトは忘れるのも早い)

イ)実験、実習の結果とシミュレーション結果を比較検討させる学習場面を設定すること

ウ)AV機器との連動を工夫し、多角的なCAIを考える。

エ)創造性を生かす(引き出す)ソフトの開発

オ)CAI学習の評価方法の研究

カ)自作ソフトの相互利用を促進するため、しかるべき機関の設置と利用方法の研究

キ)著作権の保護など

 

図2 電流計の画面

図3 トランジスタの画面

 

図3 トランジスタの画面

図4 初期メニュー画面

 

図4 初期メニュー画面

 

 

 

 


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