教育福島0135号(1988年(S63)11月)-047page

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一粒の種が地に落ちて以来、春の雨、夏の陽、秋の風に育まれてきたものであります。真に偉大な自然の創造のたまものであります。(中略)

我々人類は美しい自然と共にのみ生存し得ることを、改めて思いめぐらしながら、美しい大地、美しい大空、美しい海、美しい地球を守り育てることを誓います」

この「誓いのことば」を述べ終わると、会場の中央では、稲・野菜・家畜等に仮装した生徒たちにより、「人間と農作物とのかかわりあい」の寸劇が演じられる。

このような行事は、農業高等学校ならではのものであり、初めて参加する一年生などは大変感動し、農業の大切さを痛感し、学習意欲を高める上にも役立っている。

 

学校行事で生活豊かに

障害の克服・改善に励む

県立須賀川養護学校医大分校

 

本校は福島市から南へ約十キロ、福島県立医科大学附属病院の中に設置された、病弱児童生徒を対象とした養護学校である。昭和五十六年度、附属病院の中に分室として開設され、昭和六十二年度に県立医科大学の移転整備と相まって、分校として開校した歴史は新しい。

児童生徒数は十月一日現在、小学部十四名、中学部二十名、計三十四名でそのほとんどが、附属病院内の小児科耳鼻科、神経・精神科等から通学している。病弱という障害を持ってはいるが、医師との連携を十分に図りながらその障害の克服・改善に向けて、毎日学習や訓練に励んでいる。

中でも、児童生徒の生活の場がほとんど室内であることから、学校行事等の実施に当たっては、屋外での活動ができるよう配慮している。県立美術館や児童文化センター、県庁等の社会見学の際は、近くの公園や屋外施設での活動も計画し、楽しい一時を過ごせるようにしている。

また、日ごろ少人数で活動している児童生徒に、より幅広い人間関係を育てさせるために、学習発表会やいも煮会等の機会には、病院関係者や入院患者、あるいは保護者との交流を深めるようにしている。

このように、学校行事を工夫することによって、学校生活をより豊かなものとし、障害を克服・改善する意欲を育てている。

社会見学の際は昼食も戸外でみんなと楽しく

社会見学の際は昼食も戸外でみんなと楽しく

 

結び合う心で支え合い

目ざすは社会的自立

県立富岡養護学校医大分校

 

本校は精神薄弱児施設「東洋学園」から通学する児童生徒八十三名が中心で、その他、自宅通学が七名、訪問教育を受けている者は五名である。児童生徒の心身の障害は精神薄弱のほか、情緒障害、肢体不自由、病弱などを重複している場合が多い。浜通りの出身者が最も多いが、中通り、会津地方及び他県の出身者もいる。

本校ではこれらの児童生徒の社会的自立を図るためには、まず基本的生活習慣を身につけることが大切であるとして、授業の中で指導に当たっている。また中学部については間近かに迫った社会生活を考慮して、働く技能や態度の養成に重点をおき、農作業や窯業、手芸等の作業学習を取り入れて教育課程の中心に位置づけている。

また、近隣の富岡第二中学校の生徒との交流学習は毎年継続され、ふだん学校と施設の間を往復する児童生徒の日常生活に大きな刺激となっている。

脳性まひや病弱等のため通学困難又は不可能な障害児に対しては、本校教員を派遣し家庭において授業を行う訪問教育を実施している。大変な根気と指導の工夫を要求される教育であるが児童生徒のわずかな教育的変容を励みに指導に力を注いでいる。

多くの児童生徒は家庭を遠く離れての生活なので、学校行事等の機会に両親や兄弟と過ごす時間を可能なかぎりもてるよう工夫するなど、家庭との連絡についてはきめこまかな配慮に努めている。

 

富岡二中生の歓迎を受けて交流学習のはじまり

富岡二中生の歓迎を受けて交流学習のはじまり

 

 

 


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