教育福島0136号(1989年(H01)01月)-011page

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本といわれている漢字の「読み」「字形」「意味」の三つの観点から、次の十六の型に類別した。

1) 同訓異字の当て字によるもの

(例・会う→合うなど)

2) 同音異字の当て字によるもの

(温度→音度など)

3) 耳で聞いた音が同じであるため、意味を考えずに他の漢字を当てたもの  (一つ→人つなど)

4) ことばのうち一部の音が同じであ

るために、他の漢字を当てたもの

(外国→会国など)

5) 字形の不確実な記憶により誤ったもの (医者→医者など)

6) 字形が似ているため、他の漢字を誤って使ったもの

(右の手→石の手など)

7) 点画や偏、冠などが脱落したもの

(汽車など→汽車など)

8) 点画や偏、冠などが過剰なもの

(家→家など)

9) 偏と勇が逆になったもの

(妹→◆など)

10) とめ、はねなど、書写的な誤りによるもの (天→◆など)

11) 意味の似ていることばや、そのことばの仲間を連想したために、他の漢字を使ったもの

(九つ→八つなど)

12) 漢字のもつ意味から連想し、誤った漢字を使ったもの

(花屋→花店など)

13) 漢語のうちの一字を重ねたり、前

後を逆に書いたりしたもの

(土ち→地ち、午後→後午など)

14) 他の漢語を連想したために誤った

もの (全員→全部など)

15) 反対の意味をもつ漢字を思い出し

て書いたもの (午後→午前など)

16) 無答

(3) 誤答の類別頻度数(資料3参照)

「字形の不確実な記憶」「字形類似の誤用」などは各学年を通じて上位を占めるが、学年が進むにつれて「点画や偏、冠などの脱落」「同音異字の当て字」「発音の類似による誤用」などが増加してくる。無答の増加も著しい。

 

資料2 「書き」の学年別正答率

資料3 誤答の類別頻度数

 

資料3 誤答の類別頻度数

A上位を占める誤答について取り上げた。 (多くとも上位3字までとした。)

※ この場合の誤答数は、出題漢字1字についての目立った誤答数の合計である。学年が進むにつれて、一つの漢字について多数の誤答が見られるので、上位を占める誤答について取り上げた。 (多くとも上位3字までとした。)

(4) 誤答の原因

誤答の傾向がどのような語いにあらわれるのかを調べ、その原因をさぐった (資料4参照)。

(5) 漢字習得上の問題点(集約)

ア 字形を正確に理解していないための誤字が多い。

イ 字形の類似している漢字を当てて書くことが多い。

ウ 点画や部首の一部を落として書いたりすることが多い。

エ 同音異字の漢字を当てて書くことが多い。

オ 漢字の意味を考えずに音だけを手

がかりに当て字を書くことが多い。

カ 学年が進み、漢字が複雑化するほど誤ったり、全く書けないことが多い。

(6) 対策

ア 正しい漢字に似ているのだが、字形の記憶が不十分なために正確さを欠く誤字が多い。正しい漢字を示すばかりでなく、共通した誤字を示して、どこが誤っているのかを指摘させるなどの方法も取り入れる必要がある。

イ 字形の類似した漢字を並べて、どこが似ていてどこが違うのかを識別しその中から正しいものを選択させるなどの方法も取り入れる必要がある。

ウ それぞれの漢字がもつ部首について調べたり、同じ部首をもつ漢字を集めたりすることを通して、部首に

 

 

 


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