教育福島0136号(1989年(H01)01月)-023page

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昭和62年度と63年度の二年間にわたる研究であり、幼・小との相互理解も図かりながら進める組織で、幼稚園教師がT・Tを組み、オープン保育に取り組む体制で研究に当たった。(くわしい計画については省略)

 

五、実践の概要

 

(一) 幼稚園において、人との係わりを深めるための条件整備

1) たてわり、オープン保育

近隣社会において異なった年齢の子どもたちが集ってできる集団での遊びは、年長の子どもが主導的な役割を果し、年少の子に遊びの楽しさや遊び方を知らせ、遊びを広めたり深めたりしていく。その中で、年少の子は仲間との係わりなどついても、年長の子の影響をうけ育っていくことが多い。

現代の社会は、異年齢の集団が構成されにくい状況にあり、異年齢による集団での遊びの経験が少なくなってきている。

本園の地域の実態や家庭環境をみても前述のような傾向があり、積極的に異年齢による遊びの経験を取り入れていかなければならないことが感じられた。

そこで、本園では異年齢で取り組むことがより効果的と考えられる場合には、年齢の枠をはずし、学級の壁を開き、一人一人に即した保育を進め、楽しい豊かな遊びの展開をめざしていくことにした。

2) オープン保育の試行と保護者の理

解と協力

昭和六十二年四月からの積極的な取り組を前に、一月から三月にかけてクラスの枠をとり、たてわりグループの活動やオープン保育の試行に取り組み、一人一人の幼児の記録をとってみた。

年齢別の保育の時よりは、一人一人が意欲的・自発的に取り組み、画一的でない楽しい活動が展開でき、興味の持続と発展が見られた。

そうした成果や実施状況を保育参観時に見てもらい、PTA役員会等において説明を重ね、保護者の理解と積極的な協力を得ることができた。

 

小学生と園児の交流活動

小学生と園児の交流活動

 

3) ボランティアの導入

オープン保育を行うには、教師がT・Tを組んで指導にあたることは勿論だが、一人一人の幼児に対応した援助をするためには、より多くの援助者が必要となる。保護者だけでなく、地域の方々にもボランティアとして保育活動に参加してもらうことにした。

ボランティアカードを作成し、計画的な導入を図ってきた。

4) 小学校やいろいろな方々との交流

幼児たちに、いたわりや思いやり、尊敬、信頼などの育ちを期待して、小学生や老人会、農協婦人部など、地域の方々を交えて活動を工夫してきた。

(二) 教師の研修と幼小の相互理解

幼稚園の教師は、教師自身がカリキュラムであるとの考えに立ち、教師の指導力の向上を図るためには、馴合い保育からの脱皮はかることと、小学校の先生方との研究交流を大切にした研修を実施してきた。

幼・小の参観交流を行ったり、理論研究を積み重ね、オープン保育の実施園を視察したりして、積極的な研修を図ってきた。

少人数ながら協議をくり返し、望ましい保育の在り方を追求し、幼小の連続性や独自性も明らかになった。

(三) 多様な経験と多面的な活動を取り

入れた遊びの実践

1) 地域の自然環境を生かした活動

本園は豊かな自然環境に恵まれているが、それを生かした活動をしていくには、先ず教師が地域の自然を知ることだと考え、地域巡りをして自然環境を生かす年間の活動計画を作成した。

(計画書は省略)

 

「どろんこ遊びは楽しいな」−地域の自然に触れる−

「どろんこ遊びは楽しいな」−地域の自然に触れる−

 

〈主な活動例〉

○ りんごの花は、なにいろかな

○ ワーイ、お舟のきょうそうだ

○ 虫となかよしになろう

○ 草ぶえ、竹ぶえ、木の葉のおめん

幼児たちは直接自然にふれ、自然の豊かさや生命の不可思議さに気づいていく。

自然にふれる体験を通して、人間らしい優しさをもち、明るく健康で意欲的な幼児に育っていった。

2) 地域の社会環境を生かした活動

幼児たちは地域で育ち、地域で生活

 

 

 


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