教育福島0138号(1989年(H01)04月)-016page

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特集2

 

国際化に対応した

国際理解教育の実践

 

義務教育課・高等学校教育課

 

小・中学校における実践

 

はじめに

 

昭和六十三年度末に新学習指導要領が告示され、移行措置を経て小学校では平成四年度、中学校では平成五年度より本格実施となる。この学習指導要領は、教育課程審議会の教育課程基準の改善のねらいの四項目を踏まえて改訂された。その一つとして「国際理解を深め、我が国の文化と伝統を尊重する態度の育成を重視すること」が提示されている。これは、諸外国の文化に対する理解を一層深め、世界と日本とのかかわりに関心をもって国際社会に生きる日本人としての自覚と責任感を涵養すること、更に我が国の文化と伝統に対する関心と理解を深め、日本人としての真の自分を確立することを目指したものである。つまり、国際社会に通ずる立派な日本人を育成することにある。

今日、我が国は世界の中で経済大国と呼ばれ、先進国の仲間入りをするに至った。それだけに、あらゆる分野で国際化が進展し、世界各国との交流が進められている。その中で、われわれ日本人は世界の平和と繁栄のために多くの国々の人々とつき合い、共存して生きていくことが求められている。また、その地位にふさわしい役割分担を積極的に果たす使命も担っている。そのためには国と国との交流や物の輸出入だけでは十分ではない。国レベルの交流から一歩進んで地域レベルでの交流が必要であり、人的交流の推進こそが求められている。そして、国民一人一人が日本人としての自覚と誇りをもちながら心の中に世界平和のとりでを築き、その心を行動で表現することが肝要である。この真の国際化を実現するためには、義務教育段階からの国際理解教育の充実と国際交流活動の推進は不可欠であると言える。ここに、今、教育の国際化が叫ばれている理由がある。

県では、「世界に開かれた福島県」を目指して「財団法人福島県国際交流協会」を発足させており、その他にも国際化にかかわる事業や会議等を数多く実施している。また、県内各地には県、市町村そして民間レベルの各種国際交流団体も多く見られる。更に、国際姉妹都市は、十市町村にも及んでいる。

県教育委員会でも、「豊かな人間性と創造性をはぐくむ学校教育の推進」のもとに「変化に対応した教育の充実」を重点施策の一つに掲げ、国際理解教育の拡充を目指している。そのため、すでに昭和六十年度から小・中学校の各一校を「国際交流推進校」として指定し、二年間の実践を依頼するとともに、その成果を県下の小・中学校に普及させている。また、昭和六十一年度には国際理解充実を図るために「国際理解教育の手引」を刊行し、各校に配付してその活用を図っている。最近では、自主的に外国の学校と交流活動を進める学校も現われ始めている。

小・中学校において国際理解教育を進めていくためには国際理解、国際交流活動、環境構成等について考えていくことが必要である。

まず、国際理解については、各教科では国際理解という観点から教材を見直し、指導上の配慮を十分にする。道徳の時間の指導においては、特に内容項目二十七、二十八(小学校)、十六(中学校)を中心に道徳的実践力を養う。また、特別活動等においては、国際理解に関するクラブを設けたり、講話を聞かせたり、話し合わせたりすることができる。

次に、国際交流については、特別活動等の時間を積極的に活用する。同世代の外国人の多くと交流することは望ましいが、不可能の場合は、地域に住むいろいろな国や世代の外国人との交流を進めていく。この際、文化の相互交流は欠くべからざるものである。

最後に、教室や廊下に世界の国旗を飾り、掲示板には国際コーナーを設けたりするなど国際色豊かな環境構成に創意工夫を凝らすことも必要である。

これら三者が一体となってこそ国際理解教育の成果が一層あがるものと思

 

 

 


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