教育福島0138号(1989年(H01)04月)-017page

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われる。

以下、昭和六十二・六十三年度に国際理解教育の研究に取り組んだ中学校と小学校各一校の実践の一端を紹介するので参考にしていただきたい。

 

「国際性豊かな生徒の育成は」どうあるべきか

 

−教育課程における国際理解教育のすすめかた−

いわき市立草野中学校

 

一、主題設定の理由

 

二十一世紀の未来社会をたくましく生きぬくための資質の一つとして、生徒に、豊かな国際感覚を身に付けさせることが学校教育の今日的課題である。

本校は、近郊農業地帯にあり、保護者の職種も、農業関係従事者が比較的多く、ものの考え方、社会的慣習などにも、農村特有の保守的なものが多分に残っている地域である。

生徒は、全員が一つの小学校から入学してくるため、友人間の親密度は高いが、自主性、自律性、競争心等に欠ける面が見られるとともに、地域性が反映して、保守的・排他的傾向がみられる。

また、調査結果からも、生徒の意識の中に、真の「国際性」「国際感覚」が育っているとは言い難い。

そこで本校では、社会福祉や世界平和に貢献できる「国際性豊かな生徒」の育成を教育目標の一つに掲げ、教育活動全体の中で、意図的・計画的に、国際理解・交流教育を推進することが社会の要請にも応えるものであるとの認識から、この研究主題及び副主題を設定した。

 

二、研究のねらい

 

本研究主題に迫るために、次の四つの研究目標を設定した。

(1) 人間尊重の心の育成を図る。

(2) わが国の文化を正しく理解し、外国に紹介しようとする態度の育成を図る。

(3) 外国の文化,生活習慣を正しく理解し、尊重する態度の育成を図る。

(4) 平和を愛し、社会の福祉に進んで貢献しようとする態度の育成を図る。

 

三、研究の内容及び方法

 

本研究においては、「国際性豊かな生徒」を、具体的には次のような資質を持った生徒であるととらえ、教育課程の中に、国際理解教育と外国との交流実践活動を位置付け、並行して実践していくことにした。

(1) 常に好ましい人間関係を保ち、広く人類愛の精神に目ざめた生徒

(2) 異文化を理解し尊重する態度と、国際社会の中で、日本人としての自覚と誇りを持って行動できる国際的礼節を身に付けた生徒

(3) わが国の歴史・文化・伝統などを正しく理解し、外国に紹介できる能力を身に付けた生徒

(4) 平和を愛し、みんなの幸せのためにすすんで奉仕できる生徒

(一) 国際理解教育について

(1) 各教科の指導において

各教科の学習指導要領のねらいを十分検討し、その指導の過程において、次の事柄を理解させ、身に付けさせるための指導の在り方を工夫する。

1)外国人の生活やものの見方、考え方などについて理解させる。

2)各国の文化・政治・歴史・経済など、国際社会に関する広い認識を持たせる。

3)外国人と意志の疎通ができる語学力と表現力、異文化を理解する能力と国際的礼節を身に付けさせる。

4)わが国の歴史・文化・伝統等の個性や普遍性を正しく認識し、国際社会の中での日本人として行動できる資質を身に付けさせる。

(2) 道徳教育において

1)他の生き方や考え方の尊重、隣人愛、国際親善の意義を理解させ、人間尊重の育成を図る。

2)平和を愛し、社会の福祉にすすで貢献できる態度の育成を図る。

(3) 特別活動において

1)集団の一員としての自覚を深め、主体的に行動しながら、他人を尊重し、協力し合うことのできる協調性の育成を図る。

2)なすことによって学ぶ態度を育て、人間愛に基づく奉仕と親善活動へと発展させる。

(二) 国際交流教育について

特別活動や創意の時間を活用し、次のことを実践し、直接体験や交流活動を通して生徒の国際性を育成する。

(1) 外国人との交歓会や意見の交換会

(2) 外国の学校との作品交換

(3) 外国で生活した人を招いての懇談会や講演会

(4) 在日留学生や外国人教師との交歓

(5) 郷土教育と郷土芸能の伝承

(6) 外国人のホームスティの受け入れ

(7) アメリカンスクールとの交歓

(8) 生徒会JRC活動の活性化.

(9) 関係諸団体との連携による活動

 

四、研究組識

 

 

 

 


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