教育福島0138号(1989年(H01)04月)-018page

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五、国際理解・交流教育の実践

 

(一)国際理解教育

(1)各教科指導

1) 各教科とも国際理解教育にかかわる面を明確におさえ、それらを年間指導計画に位置づけ、その具現化のため、国際理解を意識した授業を工夫し展開した。

2) 友だちを大切にし、仲よくする思いやりのある心豊かな"よき日本人"を育てることは、よき国際人を育てることにつながるとの認識からその育成のために、学習形態の多様化を図り、指導法を工夫した。(特に、グループ学習、助け合い学習など)

3) 表現力を豊かにすることも、国際人を育成するためにはへ欠かすことのできない面があるので、明確に自己を語れるよう、指導法の工夫を図った。

(2)道徳教育

1)人間尊重の心や平和を愛し、社会の福祉にすすんで貢献できる態度を育成する指導が大切である。したがって、生徒同士が他を思いやり、人格を尊重し認め合い、協力し合う心や態度を育てること、自己の利害のみで物事を判断しない、心と豊かな心情を育て、相互に信頼し助け合う温かな人間愛の精神を養うことを基盤として指導に当たった。

2) 道徳の時間の指導では

ア 人間尊重の心

イ 自国や他国の文化を尊重する心

ウ 平和を愛する心の三つの心を育成することとし、これらに特にかかわりの深い項目を、重点実践項目として指導に当たった。

(3) 特別活動

特別活動の各領域の年間指導計画に国際理解・交流教育を位置付け、その具現化をめざし指導に当たった。

1) 創意の時間の活用

ア 火曜日の六校時を創意の時間として位置付け、月二回以上を国際理解・交流活動の実践の場とした。

イ 金曜日のゆとりの時間を「交歓のつどい」「ふれあいの時間」として位置付けた。

2) クラブ活動

国際理解・交流教育を助長するねらいから、次のような編成をした。

ア 国際理解・交流活動につながるクラブ

(海外ペンパル、海外旅行、中国語、フォークダンス)

イ 日本の伝統文化・郷土理解のクラブ

(華道、茶道、造形、将棋、じゃんがら)

ウ 体育・文化・生産的クラブ

3) 生徒会活動 活動の活性化の原動力とするため宿泊によるリーダー研修を実施した、

4) 学級指導、学級会活動、学校行事(略)

(二) 国際交流教育

自国や他国の文化・生活習慣を正しく理解し尊重する態度や、相手を認め助け合う思いやりの心等を育てるために、次のような活動を実践した。

(1) 国外居住経験者、日本滞在外国人、英語指導助手、在日外国人留学生との「交歓のつどい」、「ふれあいの時間」を開設。(十二回実施)

(2) 外国の学校との作品交換

(スイス、チェコスロバキア、イギリス、中国)

(3) ホームスティの実施。(二回六名)

(4) 外国大使館に依頼し、資料を収集。

(三十数か国)

(5) IER(国際交流室)の設置。

外国の生徒作品や資料等の展示活用。

 

六、研究の成果と今後の課題

 

(一) 研究の成果

(1) 交歓のつどいや授業で、外国人に接する抵抗感が薄らぎ、自分から進んで接しようとする態度に徐々に変容してきた。

(2) 外国人との直接交流から、語学力、表現力の必要性を感じとり、身に付けようとする意欲が高まった。

(3) 外国人への興味関心は、実践活動が深まるにつれ、多様化し、視野が広くなるとともに、異文化を理解し、容認しようとする傾向がみられた。

(4) 研究実践する中で、教師と生徒との好ましい人間関係が深まってきた。(5) 教師自身、国際理解・交流教育の必要性についての認識が深まった。

(二) 今後の課題.

(1) 指導される国際理解から、生徒自ら取り組む国際理解への変換

(2) 直接交流の継続と機会の拡大

(3) 外国との作品交換、文通の継続

(4) 郷土教育の充実による、日本文化の良さの理解

(5) 生徒の自己表現力の継続的指導が必要。

(6) 地域社会家庭へ啓発の努力が必要。

 

英語指導助手とじゃんがら念仏クラブとの交歓

英語指導助手とじゃんがら念仏クラブとの交歓

 

 

 


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