教育福島0138号(1989年(H01)04月)-019page
国際性豊かな児童を育てるための指導
磐梯町立磐梯第一小学校
一、基本的な考え
現在の小・中学生は、外国の情報を容易に得ることができる社会環境の中で育っている。従って子どもたちは従来に比べて外国の文化や生活様式について多くの知識を有し、異文化を理解する素地を有しているが、近年の著しい国際化、情報などの変化に対応していくために国際理解の一層の充実を図る必要がある。
研究については、学校教育全般を通じて行っていくことを基本として、取り組むことにした。
二、主題設定の趣旨
現在の国際社会は国同士の深い結びつきのうえに成り立っており、この傾向は今後ますます拡大していくと考えられる。このような動きの中で国際化社会に対応した人間の育成を学校教育の中で積極的に行う必要がある。
本校は、磐梯山猫魔山系の南西丘陵地帯に広がる人口四千五百余りの小さな町にあり、自然環境には極めて恵まれている。しかし急激な社会変化の影響は、この町にも次々と誘致される新しい産業に象徴的に表われ、徐々に地域の旧来の考え方などの転換を迫られている。町としても、カナダ・ブリティッシュコロンビア州オリバー市と姉妹都市の提携をするなど、国際化への対応を見せ、学校における国際化に対応した教育への期待は強まりつつある。
そこで本校としては、研究を推進するにあたり国際理解教育を次のように受けとめることにした。
外国についての理解の教育は、自国の文化、伝統に対する深い理解の上に立って異文化への理解を深めることであり、即ち家族、郷土、日本の国をより理解する学習に加えて直接外国人との交流をもつことによってその考え方の理解を一層強めることである。
教育目標との関連も十分考慮したうえで、国際感覚を身につけた児童の育成を目指して標記の主題を設定した。
三、研究仮説
学校教育全体を見通し「国際理解」に関する教材を選んで系統的に指導すること及び直接の交流を経験させれば国際理解を深めることができ、小学生にふさわしい国際感覚が身につくであろう。
四、研究内容
1 教科、道徳、特別活動について国際理解との関連を密にした指導計画の作成
2 適切な資料の選択や内容の研究、指導法の在り方の研究
3 外国人英語指導助手の指導援助活動の導入
五、研究の実際
1 各教科指導における研究
各教科における題材については、外国のかかわりを追求し、低学年では特設を、高学年では社会科を中心に学習する。
特に社会科の国際理解に関する題材については今後の見通しを十分もたせるものにしていく。なお扱いについては教科指導の本質から外れないよう十分配慮する。
2 道徳の援業における研究
国際理解のためのねらいを達成するには、主題の入れ替えを要するものもある。その条件等を次のようにした。
○ 児童の興味関心を高めながら発展的に扱っていける内容
○ 教科、特別活動との関連を十分図れるような内容
3 特別活動における研究
体験の場として意義付けた特別活動では、一人だち学習のために直接交流を行い、研究を検証的に進める。
昭和六十二、六十三年度に実施してきた直接的な交流活動は、アメリカ、オーストラリア、カナダ、中国、メキシコなどと十八回にわたり、四十数名の外国人との交歓会の実践や、外国人から英語の指導を受けてきた。
また間接的な交流活動としては、この二年間にカナダのオリバー小学校やターセル・ヌイット小学校、アメリカのロイヤルハイツ小学校などとの交信を続けてきた。
外国を理解するための書籍、写真、児童の作品等々は貴重な物であり、特に、交換したビデオテープは、研究を充実させるための貴重な資料となった。
4 創意活動における研究
明るい笑顔で心の交流