教育福島0138号(1989年(H01)04月)-032page

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れ、春、敷地には先輩諸兄が植樹してくれた桜が咲き誇り、夏には木陰をつくって涼しさを与え、落ちついた環境に包まれています。生徒数約四百七十名のうち、農家は約六パーセント位で、ほとんどが会社員や公務員の家庭で占められ、多くの生徒は土と親しむ機会が少ないようです。人間がその生命を維持していくのに必要な食糧を生産し、供給するという営みについての学習の機会が義務教育の中で少ないことを考えると栽培学習は軽視できない面があります。私が赴任した当時は畑がありませんでしたが、幸い体育館と技術室の間に畑にしてもよいような空地があったので、三年生男子とスコップとツルハシで畑づくりにとりかかりました。

植木の移動や石の除去、水はけが悪いので約一メートルほど深く掘り暗渠もつくり、近くの愛宕山から腐葉土を集め、山砂、土などと混ぜて七坪ほどの畑を完成させ、食用作物中心の栽培実習にとりかかりましたが、生徒は作業を苦にせず喜んで畑づくりに汗を流してくれました。

「あれライン引きの石灰と同じようだぞ。なぜ石灰まくの」

「腐ったものを畑に入れて大丈夫なのかな」

「トウモロコシの種に色がついているのはなぜなのかな」

「せっかく芽が出て育ってきたのに、なぜ引き抜くの」

「ジャガイモは、なぜ切って植えるの」

「夕食のサラダに俺のつくった二十日ダイコンが入っていたので、うれしかった」

「農家の人の苦労がわかった」

「トウモロコシのメシベとオシベを初めて知った」

実習中の生徒が抱いた疑問点や実習後の感想です。あらかじめ教室で指導していたのですが、実習をすることにより疑問を持ち、それを解決して新しい感動に浸る者もおり、実践活動を通して生活に必要な基礎的な技術を身につけさせるという技術科の指導の原点を改めて生徒の姿から学びとることが多くありました。

土壌づくり、発芽、光合成と栄養分の移動、貯蔵など理科の学習と関連づけ食糧生産を栽培学習の中心として、人間が生きていくために必要な技術の一端を実践活動の場を多く与えて身につけさせていきたいと思います。

(伊達町立伊達中学校教諭)

 

県総合美術展の開催と作品募集のお知らせ

 

県総合美術展の開催と作品募集のお知らせ

 

県教育委員会では、平成元年度の県総合美術展覧会を次により開催することとし、作品を募集します。

 

○会期 六月十七日(土)〜二十八日(水)(月曜日は休み)

○会場 県文化センター

○入場料 無料

○部門 日本画・洋画・彫塑・工芸・美術・書

○出品規定 △出品資格=県内在住者および県出身者(中学生以下は出品不可) △出品作品=自己の制作したもので県外の公募展において受賞していないもの △出品料=一般・二千円、青少年・千円 △作品受付=六月九日(金)に県内十一カ所の受付所に搬入すること。

○作品展示 出品作品は、部門ごとに審査員の鑑査、審査を行い、陳列作品を決定する。

○授賞 すぐれた公募作品に賞を与え表彰する。そのほか詳しくは県教育庁文化課(TEL0245(21)1111内3982)までお問い合せください。

 

表紙写真について.

 

「教育福島」の表紙写真が新しくなりました。

平成元年度は、シリーズ「福島の山」を掲載します。県内各地の「ふるさとの山」の四季折々の姿と風情を美しいカラー画面によってお楽しみ下さい。

本誌のこの企画に対して貴重な写真を提供して下さるのは橘智行氏です。ここに氏について紹介し、感謝の意を表します。

 

橘 智行(たちばなともゆき)

○伊達郡梁川町出身(三十六歳)学生時代に写真部や山岳部に所属し全国各地の山々を撮り歩く。

○現在、東北山岳写真集団福島支部代表・県中行政事務所勤務

○主な活動

・個展「山の鼓動」一九七〇年

・東北の山十人展」(福島民報社PRホール)・「東北の山に謳う」

(東北電力グリーンプラザ)等の

写真展に毎年出品

○著作

・「東北の山に謳う」(東北山岳写夏集団刊)

・「東北百名山」、(山と渓谷社刊)の吾妻、安達太良、磐梯町を担当執筆中。

 

 

 


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