教育福島0138号(1989年(H01)04月)-044page
な関連を持たせて指導に生かしていけばよいのか、検討していく必要がある。
○ 児童の興味や関心といったこだわりに基づく指導のほかに、一人一人の個性を生かし育てていく様々な指導のあり方について、研究領域を広げていく必要がある。以上の三点を今後の課題とし、模索していきたい。
(なお、斎藤先生は平成元年四月より川俣町立川俣中学校勤務)
文学的教材を創造的に読み進めるための授業実践
いわき市立高坂小学校
教諭 金成邦寛
一、実践研究の趣旨
学習指導要領の二年生の理解の領域の中に、「ウ 人物の性格や場面の様子を想像しながら読むこと」という事項がある。この事項は、文学的教材の読みを通して身に付けなければならない基礎的な能力である。この能力が十分に培われないと、児童たちの<読み>が深まりのないものになる恐れがある。
国語科の学習は、言葉を聞く、話す、読む、書く活動が教育活動そのものであり、それを通して、学年に応じた国語の諸能力を身に付けることが目的でもある。「何が書かれているか」を重視し過ぎると教材の優位性が強調され、児童たちの主体的な〈読み〉が弱くなりがちである。そこで、児童たちが教材と対等の位置に立ち、文学的教材を主体的に読み進めていくためには、「いかに書かれているか」という側面の学習を採り入れ、児童たちが文学的教材を創造的に読み進めていくことが大切であると考えた。
二、研究の仮説と方法
(一)仮説
(1) 「いかに書かれているか」の側面の〈読み〉を指導過程の中に生かす。
(2) 形成的評価の機能を十分に生かし基礎的な「読みの累積」を保障する。
以上の事柄を実践することによって児童たちは、文学的教材を叙述に即して創造的に読み進めることができるのではないだろうか。
(二) 研究の方法
(1) 教材研究
単元の指導で教師の〈読み〉が、児童たちの〈読み〉を大きく包み込めるように配慮し、研究を進めた。
1)目標分析表、目標構造図、指導順路案の作成
2)前提条件テストの実施と考察
3)文学的教材の学習の意識調査
4)初発の感想における〈読み〉の深浅の分類表の作成
5)目標分析表、目標構造図、指導順路案の修正(資料1参照)
(2) 指導の重点化
児童たちの実態に即して指導の重点化を図り、次の五つの能力の育成に努めることにした。
資料1 指導順路案