教育福島0138号(1989年(H01)04月)-045page
1)粗筋をとらえることのできる能力
2)イメージを描くことのできる能力
3)人物と人物との関係をとらえることのできる能力
4)状況に応じた登場人物の気持ちが読み取れる能力
5)主題に迫ることができる能力
(3) 形成的テストの作成
目標構造図の基礎的・基本的な目標の達成フィード・バック機能の活性化のために形成的テストを指導の重点に沿って設問し実施した。
(4) 到達度テストの作成
単元の学習の終了後、児童たちの学力の定着を把握するために基礎的・基本的な目標の他に発展的な目標を加えて設問し実施した。
三、研究実践の概要
(一) 検証授業
(1) 検証授業1 第三時
題材 「どっこい海へ行く」
本時の学習部分は、教材文の冒頭にあたる。ここでは、次のような点に留意をして検証を行った。
1)「どっこいは、こころのやさしい男だった。」という叙述の具体化
2)様々な叙述から、「どっこい」という男の人物像をイメージ化する。
3)「どっこい」の視点で「よねじいさん」の会話文を読み取る。
(2) 検証授業2 第五時
本時の学習部分には、「どっこいが山おくの村から海べの村へ着くまでの苦労と海べの村へ着いた時の喜びの様子」を次のような点に留意をして読みを深めた。
1)海べの村へ行くまでの周りの様子を十分に思い描く。
2)「どっこい」の苦労を表す具体的な叙述をとらえる。
3)叙述と叙述の間を児童たち一人一人の想像で、「どっこい」の独白としてつないでいく。
(4) 検証授業3 第五時
題材 「名前を見てちょうだい」
本時は、「えっちゃん」「きつね」「牛」が、「大男」と出会う場面である。ここでは、次のような点に留意をして検証を行った。
1)「大男」と「三人」の二つの視点から読み取る。
2)会話文を動作化を用いて音読し、登場人物たちの心情に迫る。
3)各自の〈読み〉を音読を用いて表現する。
(4) 検証授業4 第六時
本時の学習部分には、「えっちゃん」が「大男」にたち向い、「大男」がしぼんでいく様子が描かれている。次のような点に留意をした。
1)児童たちの感動を軸にして〈読み〉を深める。
2)「えっちゃんの怒り」を叙述に即して具体的にとらえる。
3)動作化を用いて、場面の様子を具体的にとらえる。
(二)評価
(1) 通読段階での児童たちのく読み〉の実態を観点別にとらえる。
(2) 形成的評価の機能を生かした形成的テストの実施。
(3) 主目標「話の順序に気をつけて読む。」の評価(粗筋を千二百字以内でまとめる)
(4) 到達度テストの実施(資料2参照)
四、研究の成果と今後の課題
(一)研究の成果
(1) 児童たちが、言葉に着目して教材文を読み取るようになった。
(2) 登場人物の心情をとらえる学習に抵抗を示す児童が、少なくなった。
(3) テストによって個人内の学習の成果を一人一人の児童が把握し、学習意欲が高まった。
(二) 今後の課題
(1) 言葉探しの学習に終始している児童への適切な指導の工夫
(2) 正しい〈読み〉から〈豊かな〉読みへと、〈読み〉をふくらませていくための指導の改善
(3) 個人内評価を重視した指導計画の作成
資料2 到達度テスト