教育福島0138号(1989年(H01)04月)-051page

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その他の活動として、奉仕活動を取り入れた全校登山では、生徒会の計画立案による磐梯山のクリーン作戦を実施し、郷土を大切にする気持ちや生活していく中で守らなければならないルールを学びとることができた。

今後は創意の時間を活用し、為すことによって学ぶという体験の意義を重視し、道徳の授業の充実と家庭との連携を図り、心豊かにたくましく生きる人間の育成を目指して平成元年十月三十一日の公開に向けて努力していきたいと思う。

 

地域教材を生かした教育活動

鮫川村立西野小学校

 

本校の緑の少年団は、昭和六十年四月二十六日に結成されました。

それ以来、恵まれた自然を学校教育の創意活動の中に取り入れ、児童の健全な青操教育のための一つとして展開しています。

毎年、四月の緑の少年団結団式に始まり、緑の帽子に緑のスカーフを身につけ、一年生から六年生まで、全校生が、各種活動に取り組みます。

その主な活動として、自然の観察、緑を守り、育てるための植樹活動、自然の中での遊び、規律のある行動の体得等があります。

また、なめことしいたけの菌を原木に植え付けをしています。下級生は菌の準備をし、上級生が原木に穴をあけて菌を打ちつけます。

こうして植えつけられた原木には、きのこが育ち、家庭科の実習を兼ねたなめこ汁つくりが行われます。五年、六年生が協力して作ったなめこ汁を、全校生で味わっています。

昭和六十二年度には、愛鳥モデル校の県指定を受け、野鳥がさえずる森づくりのための活動も加わりました。実のなる木の植樹、餌台つくり、愛鳥ポスターづくり、放鳥会、探鳥会、巣箱づくりと巣箱かけなどがあります。

双眼鏡を手に、朝もやの中に野鳥の姿を探したり、放鳥会のときなどは、ばたつくキジやヤマドリを両手でこわごわ押さえながら、その感触を肌で感じ取ったりしてきました。巣箱作りでは、巣箱の形、巣箱の穴の大きさ、−かける場所や方向、高さの違いによって、どんな小鳥が巣作りをするかを親子で調べてきました。

自然に親しみ野鳥と緑を守り育てるために、生まれ育ったこの地域を十分に活用した活動が、今日も鮫川の地で続いています。

 

勤労生産学習にとりくむ

西郷村立川谷中学校

 

新年度早々、三十号程度の日本画が学校に贈られてきた。「名を出さずに生徒たちの目に入るところにかかげてほしい」という注文がそえてあった。地元に住む画家が、子どもたちがつづった詩集「じゃがいも」を読んで感激し、子どもたちのために、わざわざ描いてくださったとのことである。

学校農園のじゃがいも栽培は、地元有志から土地と種いもの提供と指導を受け、十数年来の継続により本校の伝統行事になっている。全校生を縦割でグループ編成する。三回目の経験をもつ三年生がリーダーとなり進められる農園作業は、実に手ぎわよくあざやかである。すべての三年生がリーダーの役割を果たせることは、伝統の強みである。

年によっては、吹雪の中での植え付けとなり、自然の厳しさを学ぶ。せっかく伸びた芽が霜害にやられ真黒になることもあるが、その後、再びたくましく芽を吹き出す様を見て、成長のたくましさに驚嘆する。

グループ割当で行う炎天下での除草作業では、「先輩たちは、中腰の姿勢でこの除草作業をがんばり通した。君たちも挑戦してみよう。決して無理はするなよ。がんばるだけがんばってみることだ」と、声をかけて約一時間の作業に入る。

四か月後に大きく育った子宝を掘り起こす収穫作業の喜び。作業後のおやつにいただく自分たちでつくったじゃがいも。もったいなくてしばし眺める。その味はまた格別で作った者でなければ味わうことができない喜びである。

ささやかな実践ではあるが、この地域に伝わる「開拓精神」を学ぶ絶好の機会であり、欠かせない行事である。

 

双眼鏡で野鳥の姿を追う(探鳥会)

双眼鏡で野鳥の姿を追う(探鳥会)

 

じゃがいもを収穫する生徒たち

じゃがいもを収穫する生徒たち

 

 

 


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