教育福島0139号(1989年(H01)06月)-007page

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提言

 

らえ、問題行動に対処していく必要があると思うが、すべての子どもがこうであるという見方で、画一的に対応しても効果があがらないようである。

いじめ、登校拒否等の原因はさま、ざまであり、解決の方法にも定石はないようである。ただ、言えることは、中学生を相手にしている私たちにとって、家庭の教育機能の低下や社会環境の悪化だけを批判したり、論じてばかりおるのではなく、生徒指導の原点に立ち返っての教育活動に努める必要があるように思う。

申すまでもなく、教育は教師と生徒との信頼と尊敬の中から育つものであり、教師と生徒、生徒相互のふれあいを通して育まれる活動で、知識技能を教える、習うというだけのかかわりだけではない。更に、教師から人間としての生き方を学ぶことがもっとも大切なことであるとするならば、教師と生徒のふれあいを大事にしたいものである。

中学校時代は、知識技能を分りやすく教えてくれる先生にも好感を持つが、それにもまして授業中に余談が出たり、人生論がとび出す教師に対し、より人間的なふれあいを感ずるようである。

 

ところで、本年も数多くの優秀な教員が採用されたが、青年教師と呼ばれる方々に、人間関係づくりが苦手な方が増えているように思うのだがどうだろうか。職員間の人間関係はともかくとして、学級担任として生徒集団を動かせなかったり、苦手だというのでは困る。

生徒相互の排斥、葛藤、孤立は潜在化して見えにくいものであるが、学級担任は、あらゆる方法で、生徒の学校生活適応の様子をとらえる努力が必要であろう。

教科指導の技術もさることながら、一人一人が楽しく生活できる学級づくり、思いやりと協力のある生活集団づくりに励んでほしい。

円満な人間関係を育てていくことこそ、充実した学級経営につながり、生徒指導の原点でもあるから。

卒業生を見送る筆者(中央)

卒業生を見送る筆者(中央)


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