教育福島0139号(1989年(H01)06月)-012page
3) 被服科
実験、実習を重視し、将来家庭生活職業生活を送る上で必要な知識、技能態度を養うことに努めています。和服洋服、手芸品、小物などの製作を行っています。卒業後は、地元企業の技能職や縫製職として就職していきます。
3 精神薄弱養護学校における教育
(1) 精神薄弱護学校の概要
精神薄弱養護学校は、精神発達の遅れの程度が重度もしくは中度、又は軽度で社会的適応性の面で問題のある子どもを対象として教育を行っています。
教育の目標は、一人一人の児童生徒の全人的発達を図り、その可能性を最大限に伸ばすことを目指すという点では、基本的に、小学校、中学校及び高等学校と同じです。しかし、児童生徒の障害の特性により、身辺自立の技能や習慣を身につけさせるなどして、社会的適応性を伸ばし、社会に参加していくための知識、技能及び態度を養うことに重点を置いています。
精神薄弱児は、一般に抽象能力の発達が遅れているため、小・中学校等の児童生徒のように教科内容を系統的に学習していくことが困難なので、具体的な生活経験を通して学習させる必要があります。このため、各教科、道徳、特別活動、養護・訓練の内容を合わせた指導(日常生活の指導、生活単元学習、作業学習など)が取り入れられています。
(2) 社会参加を目指した指導
社会参加には、身辺生活の自立から職業目立にいたるまで幅広い段階があります。前者については、具体的生活習慣の確立、集団活動への参加などを目指した指導があり、後者については、社会生活の理解、職業生活・経済生活の理解、勤労意欲・態度の育成などを目指した指導があります。
小学部では、健康な体づくり、日常生活に必要な基本的生活習慣の確立、更に、社会生活に必要な言語の理解や表現などの指導が中心になります。
中学部では、社会生活を送るうえで必要な言語の理解や表現、対人関係や集団参加の指導が行われ、更には、作業学習を通して、働くことの意義や働く態度、喜びなどを身につけさせ、将来の職業生活へ発展させる指導が中心となります。
高等部では、職業・家庭等の教科や作業学習の指導を通して、家庭生活や職業生活に必要な知識、技能を身につけさせるとともに、勤労を重んずる態度を養うことが中心となります。
日常的な生活習慣を学習することも大切な活動
作業学習からは自立のための多くを学ぶ
(3) 指導の実際
1)基本的生活習慣の確立
自分の身のまわりのことは、自分でできるようにすることが大切です。このため、年齢や発達段階に応じて身辺自立を促す指導を行います。
例えば、食事、衣服の着脱、排泄、持ち物の整理などの指導については小学部入学時から、一人一人の児童生徒の実態に即して計画的、継続的に行われます。
2)日常生活に必要な能力の育成
日常生活の具体的な場面における活動を通して、生活に必要な様々な能力を養うことが大切です。
このため、例えば、電話をかける、目的地までの乗車券を買う、買い物をする、食事を作ることなどについて、段階的に指導が行われます。
3)国語・算数などの基礎的な学習
言葉・文字・数の基礎となる指導がいろいろな教材・教具を使って行われています。例えば、色や形をもとにした絵合わせ、絵と文字との対応、カルタとりなど、児童生徒の興味・関心をもとにし、能力や特性に応じて小集団や個別による指導が行われます。
4)いろいろな行事
学校行事などは、子どもたちにとって、学校生活や家庭生活と結びついた素材であり、大切な学習機会となります。遠足、運動会、もちつき大会、学習発表会などの行事が、児童生徒、学校、地域の実態に即して組まれています。
5)作業学習
中学部・高等部の生徒の学習では、作業活動を中心とした作業学習が重視されます。作業学習では、単にその作