教育福島0139号(1989年(H01)06月)-014page

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ターなどを使用することが多く、上肢に障害のある生徒が、確実にキーを打てるような装置を開発して活用できるようにし、技能の習得にも力を入れています。

イ 工業

工業では、製図・工業基礎・木材工芸・電気基礎を学習していますが、いずれの科目も、運動機能の障害の程度や状態に即した方法により、負担がかからないように工夫しながら、実技の指導を進めています。

ウ 農業

農業の科目として農業基礎や野菜を取り上げ、野菜や草花の栽培を中心に、障害の状態に応じた耕作、散水などの作業を通して、作業態度や技能、意欲の向上を図るものです。

エ 家庭

生活の自立を促し、家庭生活を円滑に行うことができるように、被服、食物の実習に重点を置いて指導を行っています。

この外、学校行事等特別活動や道徳の領域においても社会参加を目指した教育が行われています。

 

5 病弱養護学校における教育

 

(1) 病弱養護学校の概要

病弱養護学校には、気管支喘息、腎臓疾患(腎炎、ネフローゼ症候群など)、心臓疾患などの病気をもつ児童生徒が学んでいます。また、近年、精神・神経疾患をもつ児童生徒が増えつつあります。

県内には、須賀川に本校、また、福島市、郡山市、会津若松市に分校が設置されており、約百四十名の児童生徒が学んでおります。本校には小学部、中学部、高等部が、分校には小学部、中学部があり、一貫した教育が行われるようになっています。

病弱児は、治療や検査、生活規制のため、一般に、授業時数の制約、身体活動の制限、直接経験の不足などを伴うことが多いようです。このため、教科指導においては、指導内容を精選したり、指導方法や教材・教具を工夫したりして、限られた時間で経験不足を補うため、効果的な学習が展開できるようにしています。

また、道徳や特別活動の指導では、特に社会経験を豊かにさせるため、学校の内・外において様々な体験学習の機会を設けています。

 

(2) 社会参加を目指した指導

病弱養護学校では、障害を克服する意欲の向上、自己の健康を管理する能力の育成、直接経験の拡大等に重点を置いて指導を行っています。このため各教科のほか、養護・訓練、道徳、特別活動の領域においても、病弱等に基づく種々の困難を乗り越える態度及び知識等を養い、社会参加の基礎づくりを行っています。

 

(3) 指導の実際

1) 養護・訓練

養護・訓練の指導は、社会参加を目指す上で重要なものの一つです。

特に健康な生活習慣の形成、病気の状態の理解と生活管理など健康の維持及び改善に関すること、対人関係の改善、心理的不適応の改善などに関することを養護・訓練の場を通して指導します。

2) 直接経験の拡大

各教科においては、児童生徒の病状や生活状況を踏まえて、直接経験の機会が多く得られるように、あらゆる場と機会を生かし、実社会で役立てられる知識や技能の習得に励んでいます。特に、できるだけ集団活動を通して、校内や校外において様々な経験をさせるように配慮しています。

3) 職業に関する指導

高等部では職業に関する教科として家庭と商業を設けています。家庭では家庭一般について、商業では簿記会計、タイプライティングを学習し、社会参加の準備をしています。

また、病弱に肢体不自由や精神薄弱を併せ有する児童生徒に対しては、日常生活動作の学習や製作活動を主体とした学習や養護・訓練に重点を置いて将来の社会参加を目指しています。

友達と協力しながらの学習発表会は大切な行事の一つ

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被服実習も社会参加を目指すために必要な学習

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