教育福島0139号(1989年(H01)06月)-015page

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6 特殊学級における教育(中学校を中心に)

 

(1) 精神茄弱特殊学級の概要

精神薄弱特殊学級では、少人数の集団の中で一人一人の個人差を考慮し、課題の設定、教材教具、指導法等を工夫して指導を行っています。小学校の段階では、基本的生活習慣を身につけ、集団生活に参加していく力を育てる指導が中心となります。中学校の段階では、将来の社会自立を目指して、職業生活や社会生活に必要な態度や知識等を身につけることを重点に指導を行っています。

また、通常の学級の児童生徒と活動をともにする機会を多く設けたり、学校行事等に積極的に参加し、経験を豊かにする指導を行っています。

 

(2) 社会参加を目指した指導

精神薄弱特殊学級では、各教科等の指導のほか、身辺処理能力を高めるための指導や体力つくりを基礎として、対人関係や集団参加が円滑に行えるような指導を小学校、中学校を通じて進めています。

特に中学校の精神薄弱特殊学級では作業学習を取り入れるなどして、生徒の能力・適性、進路等を考慮しながら家庭生活や職業生活に必要な知識、什能、態度を身につけさせる指導に重出を置き、社会参加が図られるよう努めています。

横断歩道の渡り方を学ぶ(交通教室)

横断歩道の渡り方を学ぶ(交通教室)

 

(3) 指導の実際

1) 日常生活の指導

小学校では、衣服の着脱、食事、そうじ、あいさつなど、中学では、整理整とん、衣服の洗濯、手入れ、身体の清潔など、身のまわりのことを自分で処理することをねらい、一日の生活の流れにそって毎日繰り返し学習させ、正しい習慣として身につくよう指導を行っています。

2) 基礎学力の充実

教科の指導に当たっては、社会生活との関連を図ることを重視しています、例えば、「国語」においては、日記、手紙、感想文を書いたり、読んだりしながら、生活に活用できる国語の力がつくように指導します。

また、「数学」においては、生活に必要な数量の処理をすることや、図形や図表を理解し、それらを生活に活用できるようにするための指導も行っています。特に、金銭の処理については、こづかい帳をつけたり、調理実習の収支を計算したりするなど、様々な機会をとらえて指導しています。その際生徒の能力に応じて、卓上電子計算機等の操作の仕方についても指導しています。

3) 生活単元学習

生活単元学習は、領域・教科を合わせた指導の形態の一つで、児童生徒の興味・関心を中心に課題を設定し、意欲的に学習することをねらいとした総合的な学習形態です。各種行事、季節、課題、トピック等を題材として単元を構成し、生徒の主体的活動を大切にして様々な具体的活動を通して国語、算数等の各教科の内容、道徳、特別活動の内容を指導します。

4) 作業学習

作業学習は、職業生活及び家庭主活に必要な基礎的知識・技能と勤労を重んずる態度を養うとともに、進んで社会生活に参加する能力を養うことを意図し、作業活動を中心とした指導形態です。主に中学校の職業・家庭一技術・家庭一科の内容を中心に国語、数学、社会等の各教科、道徳、特別活動の内容を総合的に指導するものです。

5) 学校行事等を通した集団活動

精神薄弱特殊学級の児童生徒は、設置されている小学校、中学校の学校行事、クラブ活動等の特別活動に参加したり、登下校、休憩時をともに過ごしたりして全校の大きな集団の中で活動することにより集団活動参加を円滑にするための経験を深めています。また、全校教職員の協力体制のもとに綿密な計画をたて、柔軟な対応により通常の学級の児童生徒と活動をともにする機会をより多く設定するよう努めています。

作業学習(クッション作り)に取り組む子どもたち

作業学習(クッション作り)に取り組む子どもたち


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