教育福島0139号(1989年(H01)06月)-018page
豊かな心をもち、主体的に活動できる子供を育てるにはどうしたらよいか
−オアシスの輪を広げよう− 福島市立清水小学校
一 研究主題設定の理由
本校は福島市の郊外にあり、学区は住宅地として落ち着きのある発展を続けてきたが、近年、高層市営アパートや個人所有のアパートの増加とともに多様な住民の生活の場となり、子どもへのかかわり方も大きな差が見られるようになってきた。
本校児童の実態を見るとき、「やさしさと思いやりの心」「物事に対して誠実に努力し、よりよい行いを実行していく豊かな感性」「問題に気づき、自ら考え判断する実践力」「ねばり強く最後までやりぬく強い意志」の育成が緊要であると考えた。
二十一世紀に生きる心豊かな、実践力のある児童の育成は、現代における教育的要請と考え、その課題の解明のために、教育活動全般の基となる「生徒指導」の一層の充実のため標記の主題を設定した。
二 研究の進め方
研究主題に迫るための具体策として、本校児童の実態を踏まえて作った本校独自の「オアシス運動」を展開した。そして学校生活全体において、「オアシスの輪を広げよう」を清水小学校の児童・教師みんなの合言葉として実践していくことにした。
清水小学校の「オアシス運動」
お)ちついて行動します。
あ)いさつをします。
し)んせつにします。
す)すんで仕事をします。
更に、日常生活の中で次の手だてを考えて実践してきた。
○児童一人一人に目的を意識させる。
○活躍できる場を保障する。
○児童の考えを生かす。
○自己評価をさせる。
本校のオアシス運動は一般的に言われているオアシス運動より概念が広く日常生活全般にかかわっている。指導に当たっては、形にとらわれることなく、児童一人一人の心に目を向け、内発的な実践を求めていくことにした。
三、研究内容及び方法
(一) 日常のオアシス運動
(1) 毎月の重点オアシス運動の推進
毎月の生活目標と関連づけて、重点オアシス運動が位置づけられ、更に各学年における重点目標を設定し、自己評価カードを利用させる。
(2) オアシスコーナーの掲示の工夫
(3) オアシス通りの設置と「よい子の木」等の工夫
(4) 朝のテレビ放送(毎週火躍日)を利用しての生徒指導の充実
(5) 「よい子の手帳」の活用
(二) オアシス運動実践の総合の場の充実
(1) 一斉清掃活動の充実
(2) 集会活動(なかよし集会)の充実
(3) 児童活動の充実
(4) 創意活動(縦割り方式)の充実
(5) 「緑の日」の活動の充実
四、研究の実際
第一年次はオアシス班の各班を中心に、毎月それぞれの班ごとの年間計画にそって実践してきたが、第二年次はオアシス運動をさらに焦点化して、毎月の重点オアシス運動を低・中・高学年のブロックごとにそれぞれの具体策のもとに実践してきた。
第二年次におけるオアシス運動の実践の主なことがらを述べてみたい。
(一) 日常のオアシス運動の実践例
中学年におけるオアシス運動の実践方法は生徒指導月別目標にしたがって各オアシス担当者が中学年における重点目標を設定した。
個別カードに自己評価をし、反省を記録させたり、学級・学年・全体をまとめてその結果を各学年オアシスコーナーに掲示したりした。オアシス通りの「よい子の木」に、親切をした行為と進んでよいことをした行為を含めて、友だちや担任が認めた者に対して、葉を一枚ずつ貼りつけることにより運動の意欲を促してきた。
(1) おちついて行動しょう。(例)
1)ねらい
ア、場に応じた行動がとれる児童の育成をめざし、中学年の特性を生かした訓練をする。
イ、授業・集会・清掃などでは、静かに話を聞き、行動できるようにする。
2) 六月の生活目標の実践例
ア、先生や友達の話を顔を見て静かに聞く。
イ、清掃のときは放送を聞き、落ち着いて行動する。
・六月の生活目標の掲示と学級指
工夫を凝らしたオアシスコーナーの掲示