教育福島0139号(1989年(H01)06月)-032page
生徒指導の充実を目指して
高等学校
生徒指導は、一人一人の生徒の人格を尊重し、個性の伸長を図りながら、同時に社会的な資質や行動を高めようとするものである。
各高等学校においては、県教育委員会「学校教育指導の重点」の「生徒指導」に関する事項
一、教師の共通理解を深め、校内指導体制の充実改善を図る。
二、生徒の理解の深化を図り、学校生活の適応を進める。
三、集団生活における規律の維持向上
四、家庭及び中学校との連携を密にし地域ぐるみの生徒指導の推進を図る。
に基づき、学校の実態を踏まえ、生徒指導の徹底に努めているところであるが、県教育委員会では、より一層の生徒指導の改善、充実を目指して次の高等学校を指定し、研究推進を図ってきた。今回は、内郷高等学校の実践について紹介する。各学校での実践の参考にしていただければ幸いである。
○ 県教育委員会指定
( )内は研究指定年度
・長沼高等学校(六十一・六十二)
「意欲的な学校生活の実現をめざす生活指導の実践」
・好間高等学校(六十三・元)
「自律性を高めるための生徒指導」−生き生きした学校生活をめざして−
○ 文部省指定
・福島工業高等学校(六十一・六十二)
「生徒指導を効果的なものとする協力体制(校内体制・家庭・地域)の在り方について」
・内郷高等学校(六十二・六十三)
「学校生活を充実したものにするための生徒指導の在り方について」
・喜多方工業高等学校(元・二)
「生徒指導の観点からの、人間としての在り方に関する指導の在り方について」
学校生活を充実したものにするための生徒指導の在り方について
県立内郷高等学校
一、はじめに
本校では昭和六十二、六十三年度にかけて文部省より生徒指導研究推進校の指定を受け、「自立する高校生」の育成を目指して、生徒指導の実践研究に取り組んできた。
二、主題設定の理由
本校においては、学校生活に意義や目標をみいだせず、また基本的生活習慣が欠如し、無気力で安易な日常生活を過ごしている生徒が見受けられる。これらの生徒は学業不適応に陥ったり、問題行動等に走る傾向があり、全体の生徒に及ぼす影響も無視できない状況にある。そこで、生徒に高校生としての自覚を促し、生き生きとして充実した学校生活を過ごせるよう標記の主題を設定し、研究実践することとした。
三、研究の基本方針
(一) 保護者および生徒の意識に関する調査を実施し、その結果を分析して、より正確に生徒の実態を把握し、それをもとに課題を設定し、研究を進める。
(二) 研究課題に基づき、全職員の共通理解のもとに教育活動のあらゆる場面において繰り返し研究・実践する。
(三) 学校・家庭の密接な連携のもとに研究・実践を進める。
四、研究組織 (略)
五、実態調査からの考察
(一) 目的
研究主題に沿って具体的な研究目標や実践計画を立てるに当たり、次のような調査を実施し、生徒、保護者、教師の意識等の実態把握を図った。
(二) 経過
1 全生徒対象の実態調査
昭和六十二年八月に、生活、進路、学習の三領域の六十三項目について調査した。
2 保護者対象の意識調査
昭和六十二年七月の三者懇談日に、生徒の家庭での生活の様子、学校の規則に対する考え方、学校への関心度など二十六項目について調査した。
3 教師対象の意識調査
昭和六十二年七月に、校内生活における生徒指導上の問題点の指摘及びその解決策への提言を求めた。
4 全生徒対象の実態調査
昭和六十三年九月に、三領域一生活進路・学習)の四十四項について調査した。5 保健室利用者に対する調査
養護教諭による身体不調者に対する聞き取り調査を実施した「六十一・二年度」
(三) 調査結果の分析と問題点
諸調査を分析した結果、本校生は次のような問題を持っていることがわかった。
1 生活習慣について
(1) 大半の生徒が現在の生活にほぼ満足している。しかし、目的意識を持たずに入学してきた生徒が多いため、気力がなく、かつ投げやりな生活態度の生徒が目立つ。
(2) 校則に対する認識が不足し、時間のけじめ、挨拶、服装、頭髪等の基本的生活習慣が身についていない生徒が見受けられる。