教育福島0139号(1989年(H01)06月)-045page

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学級百五十名である。

3)調査の内容と方法子どもの実態把握の必要性、実態把握の観点、そのための資料の集め方、把握した実態の指導援助への生かし方等を記入する質問紙を作成し、郵送により実施した。(資料1参照)

4)調査の結果と考察

ア 調査回答者の状況について

回答者の平均年齢は、盲・聾・養護学校では、三十六歳、特殊学級では四十九歳であった。盲・聾・養護学校からは、低い年齢層からの回答者、また小・中学校の特殊学級では高い年齢層からの回答者が中心になっていた。

また、養護教育経験年数でみると、盲・聾・養護学校からは、バランスよく回答があったのに対して、特殊学級からは比較的経験の浅い担任からの回答が主になっていた。(表1参照)

イ 調査項目における回答状況

ここでは、調査項目の2)の1)と5)を取り上げて述べることにする(図1、図2はその結果である)。

図1の全体傾向としては、指導計画作成時の実態把握の必要性を選択している割合が高く出ている。年齢区分別に見ると、年齢が高くなるにしたがって、その傾向が強まっているが、毎時の授業の際の実態把握については選択率が低くなっている。

図2からは、実態把握をする場合、年齢が高くなるにつれ個人の発達のばらつきや、ある行動ができるか、できないかといった現状を確認する傾向が強まり、逆に、ある行動とそれに関与する条件をあわせて考えることが、低くなっていることがわかる。

これらの結果から、指導計画作成の段階では、不測の事態を考慮して、弾力的な取り扱いをすることが必要であり、また、毎時の指導援助では、子どもの実態をより具体的に反映させていくことが、重要であると示唆される。

 

2 心身障害児の実態把握と指導援助に関する理論研究

心身障害児の実態把握と、把握した実態に即応した指導援助のあり方に関して、近年話題になっている発達診断、行動変容、コミュニケーション行動、カウンセリングの理論について、概観し若干の考察を加えた。

 

五、まとめと今後の研究課題

実態把握と指導援助に関する調査の結果については、調査項目の1)及び2)の5)までの集約にとどまった。この範囲での全体的なことについて整理してみると次のようになる。

1 まとめ

1)教育的かかわりの状況においてただ手をこまねいて傍観したり、子どもの能動性を重要視しない指導をしたりする限り、両者の関係も生活も充実したものにはなりえない。そこでその時々の状況に応じた、適切な指導援助の実現をめざして行う実態把握の道筋を考えることが大切である。その道筋を資料2のようにとらえることにした。

2)指導計画作成時には実態把握をきちんと行っても、毎時の授業においてそれを怠るとしたら、資料2に示すような望ましい指導の流れが止まりマンネリズムに陥る。指導授助のなりゆきによっては、子どもの刻一刻の変化を読み取り、計画を検討、修正しそれを速やかに実行に移す必要がある。

2 今後の研究課題

子どもの実態把握と指導援助に関する調査結果と、諸理論を併せて考察し指導援助のためのよりよい実態把握のあり方を探る。

 

図1 子どもの実態把握の必要性を特に感じるのは?

図2 把握した事実等をどう生かしているか?

図2 把握した事実等をどう生かしているか?

資料2 児童生徒理解・指導のための準備と指導の実践の望ましい関連

資料2 児童生徒理解・指導のための準備と指導の実践の望ましい関連

 

 

 

 


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