教育福島0139号(1989年(H01)06月)-048page
図書館コーナー
子どもと読書
−本との出会いを大切に−
県立図書館
子どもと読書の実態
子どもをとりまく社会や文化の変化に伴って、子どもたちの活字離れが心配されて久しくなる今日、子どもの興味の対象はますます多様化しています。
その一つとしてファミコンやビデオカセットの普及があげられます。
子どもたちの間で爆発的人気のファミコンですが、これと読書の関係について毎日新聞が世論調査を行っています。それによると、今の小学生のほとんどがファミコン経験者で、読書傾向については、ファミコン好きな子どもは、嫌いな子どもに対して読書量が少ないという結果が出ています。また、興味深いのはファミコン好きな子どもは、本よりも雑誌のほうに目が向けられているということです。
これは、単にファミコンが活字離れを助長しているだけではなく、子どもの読書の質にまで大きな影響を与えていることを示すものとして受けとめなければなりません。(図1参照)
読書傾向
一カ月の平均の読書量は、小学生で七・四冊と一九八五年以来減少傾向に歯止めがかかったようです。
これは、図2にあるように、読書する時間帯として、学校での自習時間・読書や図書館の時間が一番多いことから、学校側での読書指導がきちんとなされていることを示しています。
(図2参照)
子どもたちがどんな本を読んでいるかについては、男子では歴史ものや推理もの、女子では伝記ものが多いようです。これを県立図書館児童室で見てみると、利用者全体の六割が幼児と小学生低学年で占められているということもあって、圧倒的に絵本が多く、中でも創作絵本がよく読まれているようです。 (図3・図4参照)
本との出会い
子どもが本と出会うためには、大人による読書への動機づけが必要かと思われます。家庭においては両親が、学校においては先生が、読書の機会をつくってあげることが大切です。それには、大人が子どもの本を読み、子どもの問題意識を把握し、時には工夫することも大切でしょう。
「ふしぎだね おもしろいね 本の世界」(今年度・子どもの読書週間標語)のように、子どもたちにはステキな本に出会ってほしいものです。
県立図書館児童室には、子どもの本と、それをよく知るための大人のための手引書があります。ぜひ利用してください。
(図1・2は読書世論調査)一九八八年を参照)
図1 ファミコンの好き嫌いと読書量
図2読書する時間帯
図3 県立図書館児童室利用図書状況(1986年4月から1989年3月末日まで)
図4 県立図書館児童室利用者別内訳
(1988年4月から1989年3月末日まで)