教育福島0140号(1989年(H01)07月)-011page
る。
ウ、地域、学校、児童生徒の実態と保護者・地域社会の願い、教職員の期待を明らかにする。
エ、知・徳・体などの価値が調和的に構成されるようにする。
オ、児童生徒にとって身近で親しみやすく、しかもわかりやすい表現となるようにする。
2、学校教育目標の具現化
学校教育目標は、児童生徒一人一人が、自分の目標としてとらえ、具体的に実践したときに初めて具現化されたといえる。したがって、学校教育目標の具現化ということは、抽象的に表現されている目標を具体化し、その具体化された目標を達成するための方策や計画を立て、児童生徒が行動化、態度化に至るまでの過程ととらえることができる。
(1) 教育目標の具体化
教育目標を具体化するということはその意味内容を一層明確にすることである。これは方向目標レベルの教育目標から、到達目標レベルの具体化をめざすことである。
教育目標の具体化の過程で最も大切なことは、教職員全体が主体的、意欲的に参画し、「何を、いつ、どんな方法で、誰が推進役で、どこまで達成させるか」を明らかにし、共通理解のもとに実践できるようにすることである。
したがって、各学校では、前年度の教育目標を踏襲する場合であっても、次の過程を経ることが大切である。
ア、教育目標が、どのような背景のもとに設定され、法規、県や市町村教育委員会の重点施策、児童生徒の実態、親や教師の願い等の関係がどのようになっているかを確認し、目標設定の経過を明確にとらえる。
イ、教育目標の分析、内容の点検・整理・構造化をすすめて、一層の具体化を図る。
ウ、前年度の反省事項や児童生徒の実態を考慮して、本年度の重点目標を設定する。
エ、達成度を評価可能な具体的目標とし、達成のための組織、計画、方法を明らかにする。
(2) 学年、学級目標への具体化
学年目標は、学年の発達段階や教育課題に即して学校の教育目標を具体化し、その到達すべき指標を明らかにしたものである。その設定に当たっては、次の点に留意する必要がある。
ア、教育目標の内容を的確にとらえ、児童生徒の発達段階や実態に応じた具体的内容とする。
イ、目標を日常生活のどのような場で達成させるか、その指導の場と機会を明らかにする。
ウ、目標が各学年の段階でどの程度達成できるか、目標値が高すぎないかなどを検討する。
エ、目標のどこに重点を置くか、月、学期毎に明らかにする。
オ、教師それぞれの役割を明確にし、目標達成のための具体的な実践と評価改善が行えるようにする。
学級目標は、その学級が目指す学級自体の目標である。学級目標がその学級の実態や学級担任の教育観などによって多少の違いはあるにしても、学校の教育目標、学年の目標を受けたものでなければならない。
小学校中学年以上や中学校では、学級目標設定には児童生徒が積極的に参加し、自らの目標として設定することが望ましい。
(3) 各教科、道徳、特別活動の目標への具体化
教育目標を教育課程の編成、実施にどう結びつけ、具現するかは、最も研究を深めなければならい問題である。学校の生活時間の大半を占める各教科、道徳、特別活動の時間に目標を達成することが最も必要であることは、だれもが認めるところである。
したがって、自校の教育目標のどのような内容が、各教科、道徳、特別活動のどのような場で達成することができるかを検討し、意図的・計画的に指導が展開できるよう具体化する必要がある。
そのためには、次の方法が重要である。
ア、年度の重点目標達成の観点から教育課程を編成する。
イ、具体化した目標を、各教科等の単元、題材の学習活動の中に位置付ける。
ウ、教育目標を達成するため、教科で努力することを年度当初に児童生徒と話し合い、教科学習の目標、約束ごと等を決め評価表等を作る。
エ、授業案に教育目標とのかかわりを記述し、意識して実践できるようにする。
3、具現化のための組織体制
教育目標を効果的に具現化するためには、教職員の役割を明確にし、各人のもつ力を十分発揮できるようにすること、全教職員が共通理解をもって協力的に取り組む組織体制をつくることが基本的条件である。
これらの組織体制が教育目標の具現化のためにより良く機能するためには、次の配慮が必要である。
ア、組織は、教育目標を効果的に達成できるよう学校の実態に即して編成する。
イ、職務の内容や実施時期・方法を明確にし、担当者の責任体制を整える。特に、年度当初に各人の職務内容の理解を図り、意欲的に実践できるよう十分に話し合うようにする。
ウ、職員のチームワークが良く、協力して実践できる組織体制を整える。