教育福島0140号(1989年(H01)07月)-012page
そのためには、適材適所の配置とリーダーの心配りが大切である。
エ、定期的に委員会、各係会等を開催し、到達度や今後の努力事項等を明確にする。この各係の活動を活発にし、それらの有機的な関連をもって運営できるように、各係の連絡調整と実践・評価の計画を立てることが必要である。
オ、学校の教育目標を家庭・地域社会等で十分理解し、協力的に実践できる体制をつくる。
カ、児童会・生徒会の組織が、教育目標具現化に大きな力を発揮できる体制をつくる。
4、教育目標の具現化と評価
日々の実践と評価は表裏一体のものである。常に、児童生徒の目標達成状況を評価し、指導法を改善し、更に目標に迫るよう指導を加えていく営みが教育実践である。したがって実践の評価を日常化し、その改善の方策を常に追い求め実践する積極姿勢により教育目標が具現されると思われる。
評価が生き、教育目標達成のため活力ある学校運営をするには、次のことが大切である。
ア、教師、児童生徒の評価や改善策を学校経営に生かすようにする。
イ、保護者との連携を密にし、学校と共通の立場で援助指導ができるようにするとともに、保護者の要望も生かされる開かれた学校運営にする。
ウ、学年会、職員会、研修会、各委員会、各部会等で、教育目標達成度を定期的に評価し、全教職員が努力することを絶えず確認し合う。
エ、児童生徒が立てる月・週の努力目標を教育目標との関連で具体的にし、児童生徒が積極的に活動できるよう全教職員で指導援助する。
オ、学期末の総合評価では、評価の対象や観点、基準、方法等を的確に定めて評価し、目標達成の改善策を具体的に立て、共通理解のもとに実施できるようにする。
二 自校の教育課題と特色ある教育課程
各小・中学校においては、地域や学校の実態及び児童生徒の発達段階に即し、新学習指導要領の趣旨を踏まえへ自校の教育課題の解決を目指した「特色ある教育課程」を編成し、全教職員の共通理解のもとに、適正に実施することが必要である。
1、自校の教育課題の明確化
教育課程の基準の改善において重視された基礎・基本の徹底、自己教育力の育成、個性の伸長、徳育の充実、国際理解、情報化への対応等については十分に研究し、自校の教育活動に生かせるよう積極的に創意工夫をすることが望まれる。
また、本年度、県教育委員会では、重点施策「教育内容、方法の改善充実」の一つとして新たに「児童生徒の学力向上を設定し、各学校での意欲的な実践を期待している。
各学校においては、教育目標達成のため解決しなければならない自校の教育課題を明確にし、教職員の共通理解のもとに全力をあげてこの課題解決を目指して努力することが必要である。
教育課題を明確にするためには、次の点について評価・反省し、改善点を明確にする必要がある。
(1) 学校経営を評価・反省する。
○教育目標の達成状況
○教育課程実施状況−指導計画、授業時数、教材進度、目標、内容等
○教職員の共通理解と共通実践の状況
○学校と家庭、地域との連携、協力体制の状況
(2) 学習指導を評価・反省する。
○基礎・基本の明確化と定着の状況
○学習意欲を高める授業実践の状況
○個性を生かし、個人差を考慮した指導法の改善、創意工夫の実践状況
○主体的な学習に必要な学習の仕方の習得状況
(3) 生徒指導の機能が生きて働いているかを評価・反省する。
○自己決定の場を与えているか。
○自己存在感を与えているか。
○共感的人間関係が育っているか。
2、特色ある教育課程の編成
特色ある教育課程とは、「自校の課題に立ち向かっていく創造的な学校経営の教育計画」と言える。そして、この課題解決の営みを通して「特色」がにじみ出てくる。特色とは、決して、他にない特別の活動を意味するものではない。
自校の教育課題の解決を目指した特色ある教育課程を編成するためには、次の点に留意することが必要である。
ア、自校の教育課題について全教職員が共通理解に立ち、解決の方針、見通しと手だてを明確にする。
イ、指導計画の自校化を推進する。
自校化を進める場合の配慮することとしては、
○児童生徒の実態を的確にとらえる。
○課題解決のために何を自校化するか、何が実現可能かを明らかにする。
○校長のリーダーシップのもとに自校化を進める体制をつくる。等である。
ウ、地域素材の教材化に努める等、地域の特性を生かすように配慮する。
そのためには、地域の施設、文化財、動植物、地形等について、全教職員で分担して調査・分析して資料を整備しておくことが必要である。