教育福島0140号(1989年(H01)07月)-013page
3、教育課程の実施と評価・改善
(1) 教育課程の実施
自校の教育課題の解決のために編成した教育課程を効果的に実施していくために、次の点に留意することが大切である。
ア、指導計画が効果的に実施されているか。
○ねらいを明確にして授業しているか。
○週案、時案を作成して実施し、反省記録が授業改善に生かされているか。
イ、授業時数は確保されているか。
ウ、教材進度に遅れや、やり残しはないか。
エ、目標・内容は達成され、個人差に配慮しているか。
(2) 教育課程の評価と改善
教育課程の評価は、ねらい、時期、方法等を明確にして実施し、改善を加えていくことが大切である。
評価の具体的方法は、学校の規模、特色等により多様に工夫されるべきものであり、創意ある実践が望まれる。
評価に当たっては、次の点に留意することが大切である。
ア、全教員が協力して、組織的に進めること。
イ、計画を立て積極的に進めること。そのためには、手順、日程を明確にして年間計画に位置付け、共通理解を図っておく。
ウ、客観的な資料を収集して進めること。
エ、評価のしゃすい、より具体的な到達目標を設定して進めること。評価の結果に基づいて、教育課程を改善するための手だてとしては、次のことが考えられる。
ア、評価結果の分析と考察をする。
イ、改善の視点を決定し、重点化する。
ウ、早期に改善すべき事項と長期にわたって計画的に改善すべき事項を明らかにする。
エ、改善への方策を決める。
改善のための留意点としては、次のことがあげられる。
ア、教育課程の改善計画を学校経営の中に位置付ける。
イ、教育課程改善のための組織を工夫し、良く機能させる。
ウ、教育課程の評価に基づいて改善の方針を立てる。
エ、教育課程の改善事項を検討し、改善の具体策を作成する。
三 基礎・基本の重視と授業の改善
1、基礎・基本とは
平成元年度の学校教育指導の重点の一つに
「教材の系統・発展を的確にとらえ基礎的・基本的事項を明確にするとともに、指導を徹底して確実に身につけさせる。」があげられている。
これは、本県学校教育の大きな課題である「児童生徒の学力向上」の解決を図るために追求しなければならないものであると同時に、今年三月に告示された新学習指導要領改訂の趣旨の一つでもある。
基礎的・基本的事項の定着を図るためには、まず、基礎的・基本的事項を明らかにする必要がある。
一般的に基礎的・基本的事項を次のようにとらえることができる。
ア、学習指導要領に示された、各教科、領域の目標・内容
イ、各教科、領域の内容で、特に言語と数に関する内容一読み、書き、計算)
ウ、学習の適時性を考え、その学年で身に付けていかなければ、次の学年での学習に支障があると考えられる内容
エ、学習を展開するのに必要な、辞典の使い方や地図・資料等の活用、ノートの使い方などの学習方法や技術
オ、徳育の基礎となる、基本的生活習慣や自己抑制心に裏付けられた自主性の涵養など
以上の基礎・基本は、全体として思考力、判断力、表現力、創造力の育成を養うことにつながらなければならず、各教科、領域について、授業を通して具体化することが大切である。
2、基礎的・基本的内容の定着を図る指導
(1) 児童生徒の実態の把握と指導計画の改善・充実
基礎・基本の確かな定着を図るためには、教師の思いつきや好みでの指導を展開してはならない。
まず、客観的な学力検査や教師の観察等を通して、児童生徒の能力や適性の実態を明らかにして、教材内容の系統と発展を踏まえて、次の点から指導計画の改善を図ることが大切である。
ア、各教科について、可能な限り学力検査や諸調査等を実施し、学年、学級や個人の学力の実態を把握する。
イ、学力について問題のある点については、教材の精選・重点化を図り、指導時間の変更や時数の増加、教材の工夫等、具体的に年間指導計画の改善を図る。
ウ、学校全体で問題のある内容については、学校裁量の時間等を活用し、補充指導を計画・実施する。
(2) 基礎的・基本的内容を身に付けるための授業の改善