教育福島0140号(1989年(H01)07月)-016page
を十分に果たせるよう家庭教育の活性化、地域社会の教育力の充実強化を図る努力が望まれる。
その連携を図るために、次のことが挙げられるが、さらに、学校や地域の実態に応じて創意工夫を生かす努力が望まれる。
ア、家庭との連携
道徳の授業公開、道徳のしおりの発刊、学校(学年、学級)だより等の発刊、交信ノート、親子奉仕活動、保護者懇談会、親子レクリェーション等
イ、地域社会との連携
地域ぐるみのあいさつ運動、クリーン運動、地域懇談会、講演会等。
五 特別活動の充実
特別活動に期待されていることは、生涯にわたる人間形成にとって必要な資質や豊かな個性、社会性を培うための基礎的・基本的事項を体験を通して習得させることである。
これから児童生徒が生きていく社会は、情報化、国際化、価値観の多様化などこれまでと比べて生活環境の変化が一層激しくなることが予想される。従って教師一人一人が特別活動の「なすことによって学ぶ」という特質と教育的意義を理解することが、指導の鍵となる。
1、特別活動の課題と改善点効果的な
(1) 特別活動の課題
特別活動の課題として児童生徒の生活経験の欠如があげられるがその原因として次のことが指摘される。
ア、同学年を中心とした集団生活の場と機会はあるが、学年を越えた集団生活経験の場が少なくなってきている。
イ、家の中で過すことが多く、活動量が減少してきている。
ウ、家事手伝い等の勤労体験の場と機会が少なくなってきている。
エ、学習塾やけいこ事に行く機会の増加等により、集団の中で自己の能力や適性を発見し、主体的に学ぶ経験の場が少なくなってきている。
従って各学校ではこのような実態を踏まえるとともに望ましい人間関係の育成、基本的生活習慣の形成、心身の健康と安全、個人及び集団の一員としての在り方等にかかわる指導の充実を図る必要がある。
(2) 特別活動の改善点
1)実態に即した「創意ある指導計画」に改善する。教育活動全体について、児童生徒の活動が生き生きと展開されているか、人間的なふれあいを深める活動となっているか、などの観点から見直し、学校の創意工夫を生かすとともに、学校の実態や児童生徒の発達段階を考慮し、児童生徒による自主的、実践的な活動が助長されるように留意する必要がある。
ア、「なすことによって学ぶ」実践活動を基本として、児童生徒の活動意欲の高め方や自ら問題点を見いだし活動に取り組ませる方法を明らかにすること。
イ、地域や学校一児童生徒の実態に即し、学校教育目標の達成を目指した特色のある計画にすること。
2)実践的、体験的な活動に主体的に取り組ませるための指導の改善に努める。
ア、人間的なふれ合いを深め、生き生きとした活動が展開されるような体験学習を積極的に導入すること。
イ、集団生活の改善に努め、自己を生かす自主的な活動が意欲的に展開されるよう工夫すること。
ウ、自然とふれ合う中で自己をみつめる場を設定するため、自然教室等を充実すること。
2、自発的、自治的活動を促す学級会活動
学級会活動は、学級の児童生徒が学級生活の諸問題を話し合い、解決し、望ましい学級づくりを目指して行う活動である。
自発的、自治的な学級会活動を行わせるために次の点に配慮する必要がある。
ア、学級集団の特質を十分に踏まえ、話し合いに基づく活動により健全な自主性や社会性を養い、個性の伸長が図れるよう配慮すること
イ、話し合いを進める上での役割は、発達段階に即して適宜交代させ、学級内の全員に経験させること
ウ、指導計画は固定的なものでなく、弾力性をもつものであり、児童生徒の自発的、自治的な実践活動が一層促進されるよう改善すること
3 自主的な活動を促す児童(生徒)会活動
児童(生徒)会活動は、単なる手段や方法でなく、自発的自治的活動そのものがねらいである。従って次のような点に配慮する必要がある。
ア、学校生活の充実や改善を図るための全児童生徒のもつ問題や意見を反映した自発的な活動が展開されるよう指導する。
イ、児童生徒が学校内の仕事を分担処理していく過程で様々な内容の活動を選定していくよう指導する。
ウ、計画段階での指導体制を確立し、全教師が適切に指導できるよう共通理解を図るようにすること。