教育福島0140号(1989年(H01)07月)-017page

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4、学校や地域の特色を生かす学校行

 

学習指導要領では指導計画作成上の配慮事項に「学校や地域、児童生徒の実態に即すること」や「地域社会の実態や特性を考慮すること」があげられていることから次の点に配慮する必要がある。

(1) 学校や地域社会の特性を生かす

自校の特色を生かすには、学校の教育目標の具現化を図る教育活動の一つとして学校行事を位置付け、実態を考慮して創意工夫を図ることが大切である。また地域社会の特色を生かすには、学校を取りまく環境の特性を十分検討し、時数や季節を考慮しながら内容を工夫することが大切である。

(2) 地域の教育力を生かす。

地域の持つ伝統的文化、行事、生活の知恵などを積極的に取り入れて活用し、活気を与えることが必要である。

 

5、特別活動の指導の在り方

 

特別活動は、平成二年度から小学校、中学校とも新学習指導要領により教育課程が編成されることになる(但し中学校では一部を除く)。従って各学校とも新学習指導要領の趣旨及び内容について十分理解し指導計画を立てる必要がある。特に、取り上げる内容の重点化を図るとともに、できるだけ児童生徒の計画に基づく自主的実践的活動が展開されるよう努める必要がある。

また、学校行事は体験活動であり集団生活への適応、自然とのふれ合い、奉仕活動や勤労の精神を養う活動の一層の充実を図るよう努めなければならない。

 

六 生徒指導の充実

 

生徒指導は学校がその教育目標を達成するための重要な機能の一つである。

それは、児童生徒をかけがえのない存在であると考え、すべての児童生徒のそれぞれの人格のより良い発達を目指すものであり、学校のすべての教育活動が児童生徒一人一人に自己存在感を与え、自己実現への援助ができるようにすることを目指すものである。

児童生徒の非行等問題行動が増加の傾向にある今日、生徒指導本来の意義を再確認し、積極的な生徒指導を推進することが大切であり、そのことが、児童生徒の問題行動の防止にも直接つながるものであることを認識することが大切である。

 

1、生きてはたらく指導体制の確立

 

生徒指導の充実を図り、児童生徒の活動意欲を高めるには、教師間の共通理解に基づく協力的な指導体制を確立することが大切である。

生徒指導は日常の実践活動が重視され、平素の取り組みが生徒指導体制の中で進められる時、児童生徒の自己実現に有効に作用することになる。同時に、思いがけず発生する問題行動への緊急な対応も可能とする。

児童生徒は、教師間の指導方針や指導態度の違いには極めて敏感で、そこでの違いは、教師に不信感を抱かせ、活動意欲を喪失させ、問題行動を生み出す誘因になっていることも少なくない。

問題行動を鎮静化した学校においては、教師間の共通理解に基づく確固たる指導体制が確立されている事実を共通に見ることができるが、このことは、大切な教訓として受け止めなければならない。

指導体制の整備については、それまでの自校の生徒指導の進め方について十分に反省評価を行い、新たな進め方の意義、内容、方法を十分話し合い、実践可能な計画を設定することが大切である。同時に、具体的な実践活動の中で、実践を通して共通理解を深め、指導体制を整備していくことが大切である。

共通理解を深めるためには、次の点が大切である。

ア、自校の生徒指導の課題を明確にする過程を大切にする。

イ、生徒指導の重点・方針の策定の機会を重視する。

ウ、指導の分担と協力の過程を重視する。

エ、事例研究等研修の場を大切にする。

 

2、望ましい人間関係の育成

 

児童生徒は一日の学校生活の大部分を所属する学級の集団と共に行動する。

それゆえ、児童生徒の所属する学級は、児童生徒の学習と生活の基盤をなすものであり、そこにおける人間関係は児童生徒の自己実現に大きく影響を与えるものである。

人間は信頼関係の中で、そして、安定した人間関係の中にあってはじめて、生きる意欲を持ち、安らいで自己発揮に努めるものである。

それ故、教師は一人一人の児童生徒との間に親密な人間関係をつくることに留意するとともに、児童生徒相互の間に信頼と友情に満ちた温かい人間関係を育成していくことが大切である。

児童生徒は信頼に満ちた人間関係を実感できる時、学級生活に満足し、安心して自己を開放し自己発揮に努め、自己実現を図っていくことができる。

そのためには、教師は児童生徒理解を深めるとともに、教師自身も児童生徒に自己を語り、その理解を深めさせることが大切である。又自校の教育活動の中に、教師と児童生徒及び児童生徒相互の人間関係を深める活動や感動体験を共有する活動を計画的に実施す

 

 

 


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