教育福島0140号(1989年(H01)07月)-019page
に関する基本的行動様式の在り方等について、学年内教師が、協力し共に励むといった考えにたって指導・援助をしていく体制を整えることである。
このことは、学級担任が学年全体の調和を崩すことなく、しかも各学級の実態に応じた実効のある学級経営をするために大切である。
(3) 一人一人の児童生徒理解に基づく学年経営
教師は、すべての教育活動をとおして、常に担当学年の児童生徒の一人一人を深く理解し、その実態に応じ学級の枠を越えた援助指導に当たることが大切である。
そのためには、児童生徒理解についての話し合いの機会を組織的・計画的に設定し、その実態に応じて柔軟な指導ができる体制を整える必要がある。
(4) 教師の力量が生かされる学年経営
学年経営においては、個々の教師を最大限に生かせる分担を決め、経営の効率化を進めることが大切で、それぞれが学年内の役割を十分に認識し、協力して指導に当たることが大切である。
そのためには、学年主任を中心として、学級担任、教科・分科担任、養護教諭等との情報交換・意志の疎通を図り、指導の一貫性を保つことが重要である。
3 活力と充実感がみなぎる学級経営
学級は、児童生徒一人一人の自己実現が図られる場であると同時に、楽しく安定した生活が約束される場でなければならない。
学級担任は、教育活動の直接的な指導者として児童生徒の心身の発達を助け、学校教育目標の達成に努めるとともに、望ましい人間関係の確立を図ることが大切である。
学級経営を進めるに当たっては、次の視点に留意し努力する必要がある。
(1) 一人一人を育てる学級経営
学級担任は、児童生徒一人一人の実態を的確に把握し、個人差に応じた指導により、望ましい人格の自己形成が図れるように努めなければならない。
(2) 友情と信頼に満ちた学級づくり
学級担任は、学級の実態を表面的な面にとらわれずに把握し、学級目標の具現化の過程で、段階的に望ましい集団の形成を図る必要がある。そのためには、学級担任教師と児童生徒が、互いに信頼と尊敬によって結ばれ、明るく高め合う学級集団を築きあげていかなければならない。
(3) わかる授業を創造する教師
授業は、最も直接的な教育の場である。教師に児童生徒一人一人の個性や能力を十分に伸ばすことのできる指導力があることは、児童生徒に自信とわかる喜びを感得させ、相互の信頼関係を深めるうえで不可欠なことである。
(4) 家庭との連携を深める学級経営
児童生徒一人一人の望ましい人間形成のためには、学級担任教師がその家庭環境を深く理解して指導に当たらなければならない。最近は、それぞれの家庭やそれらをとりまく環境も多種多様であり、保護者の価値観も変化してきており、その必要性は一層強くなってきている。
平素から、家庭との連絡を密にし、教師の指導方針や家庭の養育態度をそれぞれに理解し合い、相互の信頼と協力関係を確立するよう努めることが大切である。
八 進路指導の充実
1、進路指導のねらいと性格
進路指導は、生涯学習の立場から進められるべきであり、生徒の自己理解とそれを指導し援助する教師の生徒理解とが基盤となる。
したがって、個々の生徒に将来のためのしっかりした人生観と職業観を育てるためには、生徒自身が自己の能力・適性、興味、生格、置かれている環境等を正しく具体的に理解することが必要である。
さらに教師には、生徒が望ましい自己理解が図られるような生徒理解のための能力や態度が望まれている。
進路指導の基本的な生格を次のようにおさえ効果のあがる手だてを講じることが大切である。
ア、生徒自らの生き方についての指導・援助である。
イ、一人一人の生徒を大切にし、その可能性を伸長する教育活動である。
ウ、学校の教育活動全体を通じて行うべきものであり組織的、計画的に行われる教育活動である。
エ、家庭・地域社会・関係機関等との連携、協力が特に必要とされる教育活動である。
2、進路指導の課題と改善
進路指導のねらいや必要性について理解を深め、全教師が一体となって生徒の実態や学校の問題点を的確に把握し、次のような課題に全校挙げて取り組むことが大切である。
ア、進路指導の組織を整え、全体計画を見直す。
イ、進路指導についての校内研修や校外研修を積極的に行い、校内の進路指導体制を確立する。
ウ、学級指導における進路の適切な選択に関する学習はもちろん、生き方の探求等についての指導を充実する。
エ、進路に関する情報の提供を工夫するとともに、教育相談を工夫する。
オ、保護者に対して、望ましい進路指導の在り方についての啓発に努めるとともに関係機関等との連携に努める。