教育福島0140号(1989年(H01)07月)-020page
3、進路指導の進め方
進路指導は、学級指導の中に位置付けて三年間を見通して学校の教育活動全体を通じて行うものである。
したがって各学校においては、三か年間を見通して計画的・継続的な進路指導が行えるような指導計画を作成する必要がある。
特に、各学年における進路指導の発展・系統を明らかにして、それぞれの学年の指導に当たることが大切である。
各学年の指導の目標等は、次のとおりである。
ア、第一年では、進路についての関心を深めるとともに、自己をよく理解し、進路についての学習を計画しようとする態度を養う。
イ、第二学年では、進路を明確にしていくとともに、進学したい学校や職業などに関する進路情報を理解させ、自己の計画を吟味して実現しようとする態度を養う。
ウ、第三学年では、自分にふさわしい進路を選択し、具体的に決定することが中心となるが、その過程で、必要な知識を指導して自己実現が図れるようにする。
また、進路をめぐり、青緒が不安定になり易い時期でもあるので実態に即した指導を進めることも大切である。
このように見てくると、各学年において意図する指導が行えるようにするためには、前学年までの指導内容を十分考慮し、計画された内容を実施していくことが必要である。
さらに、生徒が進路の決定をする過程では、人生に対する期待、進路への希望、そして身近な人々に対する愛情等が自然に学習されることが望ましい。
4、進路指導と学級担任
学校における進路指導が適切に行われるためには、進路指導主事を中心としながら、学級担任の識見と熱意と指導力に期待するところが極めて大きいと言える。
進路指導における学級担任の役割としては、次のようなことが考えられる。
ア、学級における進路指導の目標、方針等の設定と指導計画の作成
イ、学級指導における進路指導の推進
ウ、進路に関する各種資料、情報の収集と提供
エ、生徒の個人に関する資料及び学級全体に関する資料の収集・整理・活用等.
オ、生徒の能力、適性の把握と進路相談の計画的実施
カ、保護者との連携及び啓蒙
学級担任は、担任する生徒のそれぞれの個性や家庭の事情、本人や保護者の進路希望などをはじめ、それぞれの生徒の進路に関する考えを尊重し、家庭との連携を深めながら、変動する社会の中で自己を正しく生かすことができるように適切な援助・指導を続けていくことが望まれる。
九 へき地・小規模校教育の充実
近年、へき地・小規模校教育に対する考え方が変わってきている。従来からデメリットとして強調されてきたことを逆にメリットと見直すという考えである。
すなわち、児童生徒に広く自然とのふれ合いの機会を持たせることの必要性や、一人一人の個性に応じた教育の必要性が強く求められている今日、豊かな自然に恵まれたへき地や、少人数の特性を生かせる小規模校の教育の良い点が見直されている。
これからは、へき地、小規模校のもつ特性を積極的に生かす教育が望まれる。
1、特性を生かす学校・学級経営
(1) 少人数の特性を生かす経営
少人数ということは、指導上多くの問題もあるが、反面、児童生徒一人一人に対するきめ細かな指導や全人的な児童生徒理解が容易であるなどの長所がある。その長所に着目して、一人一人をどのように伸ばすかを中心的な課題としてとらえ、「全職員が、全校の児童生徒の担任である」という意識で、共通理解に立った実践を進めることが重要である。
(2) やる気を育てる経営
へき地・小規模校の児童生徒については、「言語による表現力が不足している」「何事においても積極性がない」などのとらえ方見方もあるが、教師の言うことを素直に聞く、生格は純真素朴であるなど可能性を秘めた児童生徒であることを忘れてはならない。
教師の熱意と個に即した指導法の工夫によって、一人一人の児童生徒の可能性を最大限に伸ばす努力が望まれる。
また、児童生徒は学校への誇りを持つことで自己の生活に自信をもち、より積極的になる。
そのためには、恵まれた自然を生かした自然学習、地域社会との深いかかわりのある学習や勤労体験学習、小規模校として可能な小集団学習など特色ある活動を展開し、一人一人の積極生や社会性を育てる教育活動を計画的に進めることが重要である。
(3) 家庭、地域との連携を図る経営
交通網の整備、情報量の増大等により、家庭生活も大きく変化してきている。しかし、地域住民の純朴で人情味厚く、学校に対して協力を惜しまない姿勢は変わらないと思われる。
学校は、父母、地域の教育に対する願いや要求などを把握しそれに教育的