教育福島0140号(1989年(H01)07月)-031page
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きる能力の育成や、基礎的・基本的学習内容の確実な習得、更に個性を生かす教育の充実等が求められている。また、国際理解を深めることや、情報化社会に対応する教育についても、その充実が要請されている。
このことを踏まえて、今後の学校教育の質的改善充実を図るために、教職員研修の充実に努める必要がある。
教職員研修の中で、特に校内研修に視点を当て改善を加えながら推進していくことが重要である。
1、研修体制の整備・充実
教職員一人一人が互いに専門的力量を高めるためには、研修体制を整備していく必要がある。
ア、校長、教頭、主任等がそれぞれの職責に応じたりーダーシップを発揮する。
イ、教職員一人一人の役割分担を明確にし、各教職員が相互に啓発するようにする。
ウ、校内の他の組織一教科部会、学年部会等)との関連性を明確にする。
エ、全教職員が参加し、組織的に行う。
オ、教職員一人一人の特性を生かす。
2、研修内容の検討・改善
校内研修の内容は多様であるが、全教職員の参加による組織的な実践や児童生徒の発達とのかかわり等の観点から、検討し、改善していく必要がある。
ア、学校の課題を明確に把握し、課題解決を図るための研修内容で、教育実践に即して解明できるものであるかどうか検討する。
イ、阻害要因を克服し、学校運営を活性化させるためどのようにすればよいかについて検討する。
ウ、自校の施設設備等の実態や、児童生徒の生活行動、能力等の実態を把握して、総合的な見地から検討する。
エ、高度情報化社会への進展に伴い学校教育においても情報処理等に関する教育の必要性が強調されてきていることから、コンピュータ等の活用に関する研修も考慮する。
オ、授業についての研究を中心とした研修の充実を図る。
3、研修評価の改善
校内研修を行った結果、研修内容が教職員及び児童生徒にどのように波及し、それによってどのような変容がみられたかを評価し、研修の充実に努める必要がある。その観点としては、
ア、研究内容はどうであったか。
○教育目標の具現化を図るものであったか。
○児童生徒の実態を踏まえたか。
○地域の実態や特色を生かしたか。
イ、研究組織はどうであったか。
○他の組織との関連を図り、効率的に運営されたか。
○教職員の研修意欲の向上や相互啓発を醸成することのできる組織であったか。
ウ、研究成果と今後の課題が明確にされ、周知徹底されたか。
エ、研究成果が児童生徒に生かされているか。
などの点について検討し、評価の工夫改善を図ることが大切である。
4、研修時間の確保
校内研修を進めるに当たり、時間の確保が問題になることが多いが、次の点について工夫し、効率的な運営を図る。
ア、教育課程全体を見直し、研修時間を年間計画の中に的確に位置つける。
イ、共同研修の運営に当たっては、研修内容を事前に周知させたり、教師一人一人の問題点を出来るだけ集約し、研修の方向づけを明確にしたり、記録の累積を図るなど研修の効率化を図る。
その他、学年会や職員会の最後に研修についての話し合いの時間を設定するほか、インフォーマルな場での話し合いも大切にし、共に考え合う場と機会を増やすことも有効である。
十二 幼稚園教育の充実
1、幼稚園教育の現状
幼児教育は人間形成のうえで極めて重要な時期であることが認識され、幼稚園教育に対する社会の期待や関心も高まってきている。
しかし、幼稚園では何を指導するのかということについての見解は様々で、
○ただ遊ばせているだけで何も教えてくれない。
○いろいろな活動を幼児にさせているが、何を身に付けさせるために活動させているのかわからない
○教師の意図があいまいだなどというような批判の声を聞くことからもわかるように、幼稚園教育の内容や方法に対しての理解はまだまだ十分でなく、幼稚園教育についての考え方も多様化の傾向がみられる。
また、幼稚園教育についての共通理解が必ずしも十分になされず、次のような状況も見られる。
○昔からのイメージのままの保育をしている。
○幼稚園は学校なのだからしっかり教えなくては、と考えている。
○幼稚園の特質は遊びであるからと、まるで放任の形をとっている。