教育福島0141号(1989年(H01)09月)-007page

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こうした女子の工学専攻者が少ないことを証明するような一つのテレビ番組がある。この番組は、工業高等専門学校による「アイデア対決ロボットコンテスト」である。私はこのコンテストに、若者の創造力のたくましさ、個性の豊かさ、そして遊び心とさわやかさが感じられて、ファンなのだが、一つだけ残念に思うことがあって、それは、出場者が男子のみで女子がいないことである。元来、高専には女子が少ないからとは思うが、それにしても女子がこのように素晴らしい知的な遊びに参加しないのは不思議である。この我が国の実態と比較し本家のマサチューセッツ工科大の場合には、女子もロボットオペレーター一?一として男子と共に堂々と活躍し日本以上に活気と熱気に満ちたコンテストになっていることは、まことに自然な姿と思う。これこそ男女混合のアメリカ文化と、男女別の日本文化の違いが反映された光景ではなかろうか。

 

さて、情報化、第三次産業化の時代を迎えて、我が国では将来ソフトウェアの技術者が大量に不足することが予想され、国がそれへの対応を検討しているとのことである。勿論本県においても、コンピューター等の企業が多いところがら、その状況は一層厳しくなることが考えられる。

このような経済社会の状況と、更にはこれからの女子の就業分野の拡大とを考え合わせると、やはり女子もその能力、適性に応じ、工学、理科系の技術者として養成することが肝要であり、そのことがまた、女子労働者の積極活用と、ひいては我が国経済社会の活性化にもつながることである。従って、この女子の技術者養成はひとえに学校教育のお力によるところが大きく、指導者の今後のご活躍に大いに期待を寄せているところである。

そして、このように女子の就業分野が拡大し、それぞれが個性を発揮していく中で、男女が互いに助け合い、共に働き、共に学び、共に余暇を楽しんで充実した職業生活を送ることが出来るようになると、我われ職業人は豊かな勤労者生活を送るための、目標の一つに達したことになると思う。

 

専門的技術者を目指して女子もコンピュータに挑戦

専門的技術者を目指して女子もコンピュータに挑戦

 

提言

 

 

 


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